早稲田大学マニフェスト研究所事務局次長 青木佑一
6月の通常国会で公職選挙法が改正され、2016年夏の参議院議員選挙から選挙権が満18歳以上へ拡大されることが決まった。超党派の政策型地方議員で構成される「ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟」は「18歳選挙権」時代を前に未成年者を「未来の有権者」と捉え、彼ら・彼女らの政治参加を推進するために自らの立場で何ができるかを探るため「未来有権者調査」を実施した。2015年7月22日から7月30日まで、全国の15歳から19歳の男女から932回答をインターネット調査で収集した。その結果のうち、特徴的なところだけを紹介したい。
結論からいうと、年を重ねるにつれ増加する政治への「悪い思い込み」に支配される前に、主権者教育や地方議員などの普段の活動で「良いイメージ」が持てるような環境づくりが重要だということを強調したい。
政治との距離感、有権者ほど悪いイメージはない
まずQ2「政治意識」やQ6「地方議員のイメージ」について聞いているので紹介する。それによると、15~19歳の政治関心を持つ層は「強くそう思う+少しそう思う」を足すと約半数おり、「投票したい」と考える割合も49.5%もいる。「政治は必要」、「政治によって世の中は変わる」と考える人も6割近くいて、政治の有用性も理解している。しかし、最も注目すべきは、「自分の1票で世の中は変わる」、「政治は若者の方を向いている」とは思っていない点だ。特に男性よりも女性の方がその傾向が強い。今の若年層の政治離れ、政治不信の根幹には、政治との「距離感」、「無力感」があることをしっかり押さえることが必要だ。
次に「地方議員のイメージ」について、未来有権者の回答と昨年夏に全国の有権者1,000人に調査した結果との比較を見ていく。ここからうかがえるのは、「未来有権者」は今の有権者ほど顕著に地方議員に対する悪いイメージを持っていないことだ。年齢ごとのクロス集計をとると、年齢を重ねるごとに有権者の持つイメージに近づいていくことも分かった。
要因はメディアのニュースやインターネットの情報、周囲の大人の声など様々あると思うが、彼ら・彼女らが年齢を重ね情報に触れることで「悪い思い込み」に支配されるとしたら大きな問題である。