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2015.01.10 選挙

19 統一地方選挙の統一率と投票率

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下がり続けている統一地方選挙における投票率

 統一地方選挙における投票率(%)の推移を見ると、第8回1975年4月選挙では、知事選は71.92、都道府県議選は74.13、市区町村長選は72.60、市区町村議選は75.39であったが、それ以降、若干の変化は見られたが、低下傾向が続き、第17回2011年4月選挙では、それぞれ52.77、48.15、51.54、49.86と落ち込んでいる(公益財団法人明るい選挙推進協会「統一地方選挙の投票率推移」)。「統一」だから投票率を上げられるわけではない。
 都道府県議選での投票率の低さが目立っているが、市区町村議選の投票率も5割を切っている。平均投票率は有権者数と投票者数をそれぞれ足し上げた加重平均であるため、人口の多い都市部の傾向が強く出るが、町村長、町村議の選挙でも投票率が落ちており、地域住民の選挙への関心そのものが低下していると見られる。
 なぜ有権者は選挙で1票を投じようとするのか。その理由は一般的には有権者の有効性感覚の有無によって説明される。「世の中は変化する、その変化は政治によってかなり左右される、その政治の変化に自分の1票が役立つ」という意識である。
 この有効性感覚に訴える投票の呼びかけが「あなたの1票が政治を変える」である。これは、現実の1票差で選挙結果が決まるという意味ではなく、一人ひとりの1票の積み重ねが政治を動かし、世の中を大きく変えるということである。もっとも地方選挙の場合、得票数が1票差どころか同数になることもあるから1票はばかにならない。
 地方議会議員の選挙における投票率が首長選挙に比べて低いのは、有権者が1票を投じても議会は変わらないと諦めているからであろうか。有権者の意識には地方議会の存在理由に対する深い疑念が沈潜しているのかもしれない。投票率が低くとも当選した議員が議会を動かすから、議会は制度としては存在し続ける。しかし、それは有権者の一般的支持が弱いという意味で軽い存在だといわれかねない。2015年選挙でも投票率は下がり続けるだろうか。低下しても統一選挙であるがゆえにクローズアップされ、国政の動きにも無視できない影響を与えるかもしれない。
 東京都の猪瀬直樹知事が2013年12月辞任し、2014年2月に舛添要一氏が都知事に当選したため、第18回目にして、初めて統一地方選挙で都知事選挙が行われない。各党領袖は告示日の第一声をどこで上げるのであろうか。第18回はインターネット選挙運動が解禁されて初めての統一地方選になる。選挙戦術にICTの駆使能力が反映する。

大森彌(東京大学名誉教授)

この記事の著者

大森彌(東京大学名誉教授)

東京大学名誉教授 1940年生まれ。東京大学大学院修了、法学博士。1984年東京大学教養学部教授、1996年東京大学大学院総合文化研究科教授、同年同研究科長・教養学部長、2000年東京大学定年退官、千葉大学法学部教授、東京大学名誉教授、2005年千葉大学定年退官。地方分権推進委員会専門委員(くらしづくり部会長)、日本行政学会理事長、自治体学会代表運営委員、川崎市行財政改革委員会会長、富山県行政改革推進会議会長代理、都道府県議長会都道府県議会制度研究会座長、内閣府独立行政法人評価委員会委員長等を歴任。社会保障審議会会長(介護給付費分科会会長)、地域活性化センター全国地域リーダー養成塾塾長、NPO地域ケア政策ネットワーク代表理事などを務める。著書に、『人口厳守時代を生き抜く自治体』(第一法規、2017年)、『自治体の長とそれを支える人びと』(第一法規、2016年)、『自治体職員再論』(ぎょうせい、2015年)、『政権交代と自治の潮流』(第一法規、2011年)、『変化に挑戦する自治体』(第一法規、2008年)、『官のシステム』(東京大学出版会、2006年)ほか。

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