東京大学名誉教授 大森彌
このたび、ご縁続きで、第一法規から、拙著『自治体議員入門─有権者の期待と議会の現実 住民自治の要となるために』が2021年11月下旬に刊行の運びとなります。『議員NAVI』での「進め!地方議会」連載記事のほか広く発表された論考をまとめ、住民が信頼を寄せ得る自治体の議会と議員のあり方を改めて論じました。住民自治の根幹をなす「自治体議会」を構成する議員に対する励ましでもあります。この刊行を機に、『議員NAVI』で「進め!自治体議会」と銘打って、折に触れ、また論考を発表させていただけることになりました。よろしくお願いいたします。
再開第1回のテーマが、「政務活動費の不正受給の根絶」であるのは、私としては残念なのですが、事は、自治体議員を信頼できるかどうかにかかわっていますので、あえて取り上げました。事例は、2021年11月5日にマスコミが一斉に報道した「山形県議会の野川政文議員による政務活動費の不正受給」です(以下、NHK山形NEWS WEB「全国議長会長を務めた野川政文県議 政務活動費を不正受給か」11月4日18時13分、YTS山形テレビ「野川県議 辞職へ 政活費不正受給の疑いで」11月5日18時53分配信、山形新聞、毎日、読売、朝日の各紙のインターネット版のニュース記事を参照した)。
本人も認めた不正受給とは次のような事実です。野川県議は2015年度から昨年度にかけて、事務補助員1人に給与として毎月8万円を支払ったという領収書を議会事務局に提出し、その分の政務活動費を受け取っていました。その額は6年間で576万円になります。しかし、この事務補助員が野川県議の事務所で実際にはほとんど働いていないにもかかわらず、毎月1万円のみ受け取っていたといいます。野川議員の懐には無税の504万円が入ったことになります。毎月8万円分の領収証を野川県議側が用意し、この事務補助員に署名押印させていたとみられています。事務補助員はマスコミの取材に対し、野川事務所での勤務実態はなく、名義貸しを認めています。
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