2026.02.25 政策研究
第31回 自治体議会における「リーダー」と「フォロワー」
元・大和大学政治経済学部教授 田中富雄
はじめに
本稿では、「自治体議会における『リーダー』と『フォロワー』」と、これらに関する事項等について再考します。そして、その上で政策過程において、これらの言葉を発するときの「自治体議員の発言に期待される含意と政策」について考えたいと思います。
自治体議会における「リーダー」と「フォロワー」
リーダーは「フォーマルなリーダー」と「インフォーマルなリーダー」に分けられ、フォロワーも「フォーマルなフォロワー」と「インフォーマルなフォロワー」に分けられます(図参照)。このことは、自治体議会においても当てはまります。
議会では、「フォーマルなリーダー」として議長や委員長を挙げることができます。委員長経験者が議長になることが多いでしょう。
「インフォーマルなリーダー」としては、賢人やドンが挙げられます。ここでいう賢人とは議長等の経験があり、現在は「長」のつく役職に就いていないが指導力があり、かつ謙虚で他の議員に対して寛容な人です。ドン(首領)は、表には出ずに裏で力を発揮する議員であり、ドンであることが他の議員にも知られている人です。ときに、ドンに対して他の議員や行政関係者そして市民が悪い意味での忖度(そんたく)をしてしまうこともあります。なお、ドンが1人ではなく2人であったり、3人であることもあります。複数型ドンの場合は、ドン間の相違ある政策選好を全て打破しない限り、他の議員がドンの支配から抜け出ることは容易ではありません。「インフォーマルなリーダー」は「フォーマルなリーダー」とは重なりません。
「フォーマルなフォロワー」は、役職に就いていない議員(委員)を指します。「フォーマルなフォロワー」は「フォーマルなリーダー」とは重なりません。「インフォーマルなリーダー」とは一部重なります(図のA)。指導力があり、かつ謙虚で他の議員に対して寛容な人やドンが重なります。その他、リーダーではないがフォロワーとして役立つ議員が、ここに分類できます。その意味では、「フォーマルなフォロワー」には「望ましいフォーマルなフォロワー」(=「指導力があり、かつ謙虚で他の議員に対して寛容な人」や「リーダーではないがフォロワーとして役立つ議員」)と、いわゆる「ドン」が混在しています。
「インフォーマルなフォロワー」は無発言で配下と呼ばれるような議員です。「フォーマルなリーダー」や「インフォーマルなリーダー」とは重なりません。「フォーマルなフォロワー」とは一部重なります(図のB)。重なるのは、自分の意思を主張せずにフォロワーである議員です。名目上は議員であっても、議員と呼ぶにはふさわしくない(議員とはいえない)人です。言葉を変えていえば、「ドン」にただ従うだけの「配下」ということができます。ただし、「無発言者」「配下」である議員であっても、発言すること、配下状態から脱出することを目指すべきであり、すでに目指しているかもしれません。
図 議会における「フォーマルなリーダー」「インフォーマルなリーダー」
「フォーマルなフォロワー」「インフォーマルなフォロワー」の分類
