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特集 過疎に向き合う

2024.04.25 まちづくり・地域づくり

過疎地域における地域運営の取組みと今後の展望

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島根大学教育学部教授 作野広和

1 人口減少問題への地域的対応

 2023年12月22日、国立社会保障・人口問題研究所は2020年国勢調査をもとに、2050年までの30年間にわたる都道府県別・市区町村別の将来推計人口を発表した。これによれば、2050年の総人口は東京都を除いた全ての道府県で2020年を下回り、25道県では2050年における65歳以上人口割合が40%を超えると推計されている。また、2050年の総人口が2020年の半数未満となる市区町村は20%を占めるとともに、2050年に65歳以上人口が総人口の半数以上を占める市区町村は30%にも達すると推計されている。今後、我が国はさらなる人口減少と高齢化に見舞われることは確実であり、大都市も含めた社会全体の構造変化を強いられることは間違いない。とりわけ、過疎地域で発生する地域課題はさらに深刻化していくと思われる。具体的には、①小売・飲食・医療機関等の生活関連サービスの縮小、②税収減による行政サービス水準の低下、③地域公共交通の縮小・撤退、④空き家・空き店舗・耕作放棄地等の増加、⑤学校の統廃合などが挙げられる。これらの諸課題を解決する主体は、主として自治体と地域コミュニティに大別される。
 我が国の地域コミュニティは、地縁によって自然発生的に形成されており、共同体的性格を有していた。戦前、軍国主義的な国策を徹底するために行政の補助団体として農村地域では自治会等として、都市地域では町内会等として組織化されていった。戦後、それらは非民主的な組織として解散するが、実質的には行政の末端組織としてではなく、住民の自治組織として存続していった。以降、住民による共助の基本単位として、地域課題解決を自主的・自律的に行ってきた。2000年代以降、多くの地域では人口減少に伴う問題が顕著になっていくとともに、世帯や個人の多様化やライフスタイルの変化により、地域の課題は増加していった。その結果、地域コミュニティの共同体的性格は綻び、地域課題を解決する主体としての力量は弱まっていった。全国各地において、自治会や町内会への未加入世帯の増加が問題視されているが、近年は自治会や町内会そのものが解散する例も見られる。今後も、地縁を基盤とした自治組織が地域課題解決に向き合う必要はあるものの、その力量を強化することは困難である。そのため、個々の地域コミュニティにおいては、自治会や町内会に代わる新たな住民自治組織が求められるに至った。このような背景から誕生した新しい住民自治組織が地域運営組織である。

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