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特集 過疎に向き合う

2024.04.10 まちづくり・地域づくり

過疎地域の行方

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過疎地域の未来

 それでは、こうした過疎地域は今後どうなっていくのでしょうか。
 過疎地域の議論と併せてよく語られるものに、「無住化」や「地方消滅」があります。特に、元総務大臣の増田寛也氏が2014年に提起した「地方消滅」というキーワードは、皆さんの記憶にも新しいと思います。
 こう聞くと、過疎地域の多くが近いうちに消滅するように聞こえますが、実態は少し違います。例えば、総務省と国土交通省が5年に一度調査している「過疎地域等における集落の状況に関する現況把握調査」によると、令和2年時点において、過去5年間で消滅した集落は139集落です。これを多いと捉えるか少ないと捉えるかは難しいところですが、全体で6万以上ある集落の0.2%であることを踏まえると、必ずしも多いとはいえないのではないでしょうか。
 これは、これまでの過疎対策が功を奏し、少人数でも生きていくことができるようになった結果ですが、逆にいえば、今後の地域は、広く薄く人口が分散していく社会に突入するということでもあります。国土交通省の分析では、2010年と2050年の国土を比較すると、およそ6割の地域で人口が半分以下に減少すると予想されています。次節では、こうした地域で起きる諸問題について触れたいと思います。

これからの地域課題

 過疎地域の今後の課題を検討する上で、話を分かりやすくするために、あえてここでは行政側の話と住民側の話に大別したいと思います。
 まず、行政側については、当然ながら、税収の減少やそれに伴う財政の悪化が考えられます。特に、インフラ費用に関しては、今後大幅な更新期を迎えることとなり、更新費が2.6倍にまで膨れるという試算もあります。老朽化したインフラをどう支えていくかは地域において非常に重要な課題となるでしょう。
 一方、見過ごされがちながら重要なのは、地域社会を支える重要な主体である地方自治体の人材確保が困難になるということです。すでにその兆候は表れ始めており、数年前には、職員の確保が困難な新潟県の離島に県から職員が派遣されたというニュースがありました。地方公共団体の総職員数は長い間、下降トレンドが続いており、そうした事態が全国的に起きる可能性は否定できません。
 続いて、住民生活への影響です。先に触れたとおり、1960年代、70年代の「過疎化」では、人口の急激な減少により「従来の生活パターンの維持」が困難となることが問題視されていました。確かに、空き家の増加による生活環境の悪化や芸能・文化的活動の担い手不足など、現在起きている過疎化にもそういった面はあります。しかし、今日の「過疎化」には、当時と少し違った面もあります。それは、生活の最低限の基盤を支えるサービスや互助機能そのものが弱体化していることです。
 一定の人口規模がなければ、その地域で営みを継続していた店舗や商店を維持していくことも困難になります。除排雪や草刈り、水路の清掃なども、動ける人が一定地域にいなければ一人当たりの負担が大幅に増加してしまいます。総務省の調査では、人口規模が小さいところや高齢化率の高いところほど集落の機能維持が困難になっていくことが指摘されていますが、こうした傾向は全国的に広がっていくことが想定されます。

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