「議会の第一の使命」は何か
参加者が研修を振り返る中で明らかになったのは、議員間討議の経験の差だった。所属する議会で一度も経験したことがない議員と、日常的に実践している議員が混在していた。議会基本条例に規定しているのに活用していない議会もあり、「討議を呼びかけても発言がない」と嘆く声も漏れた。
参加者の次の課題は、自身が所属する議会で議員間討議を実現させること、あるいは討議を進化させることである。
研修ではどのグループも発言が途切れなかった。やりとりをしながら笑みがこぼれ、雰囲気は終始和やかだった。共通の目的を持った議員が集う研修会だからであって、それぞれの議会に帰れば同じようにはいかない。議会に議員間討議を定着させるには、全議員がその意義を体に染み込ませることが肝要だ。
今回の研修には大正大学の江藤俊昭教授がアドバイザーとして招かれた。江藤教授は始める前に「議員にとって最も大事なことは一般質問ではない。議案審査だ」と述べ、その質を高めるのが議員間討議だと強調した。議会全体にこの共通基盤を築きたい。
江藤教授はさらに「すべての議会、議員は公開の場で討議をするから権限を付与されている。討議をしない議会は、議会と呼べない」と語った。つまり、議会にとって議員間討議は特別なことではない。当たり前の行為である。
2006年5月に北海道栗山町議会が全国で初めて議会基本条例を制定してから、もうすぐ18年になる。栗山町の条例は、議員の活動原則(第3条)として「議員は、議会が言論の府であること及び合議制の機関であることを十分に認識し、議員相互間の自由な討議の推進を重んじなければならない」と規定している。今一度、原点を踏み固めたい。
最後に栗山町議会基本条例の前文を抜粋して、この稿を締めくくりたい。今も議会の在りようを簡潔に、明確に記していると思う。
「自由かっ達な討議をとおして、これら論点、争点を発見、公開することは討論の広場である議会の第一の使命である」
討論の広場を全国に広げましょう。