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2024.03.25 議会改革

議会本来の姿を取り戻そう 福岡県で議員間討議の研修会

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新たな論点を発見する効果も

 浄水場をめぐるやりとりを聞いて、議員間討議がもたらす効果について考えた。
 1点目は、議論の幅が広がることである。浄水場のグループでは時間がたつにつれ、水道事業の将来像や持続可能性に目を向けるようになった。水道インフラの維持はどの自治体にとっても悩みの種だ。一人の議員が水道事業の広域化に言及すると、触発されたように別の議員も将来の人口減少を見据え、複数の自治体で共同運営する必要性を指摘した。
 狭域と広域、短期と中長期の視点が交わるのは、議員間討議の持ち味といえる。「新たな論点の発見」は議員間討議、ひいては議案審査の質を高める。
 2点目は、自分にはない視点を得ることだ。討議するテーマを複数の観点で捉えることができれば、見過ごしていた論点や課題に気づく可能性が増す。異なるAとBの意見からCの道を見いだせるかもしれない。これは、議員が執行部との質疑応答を繰り返すばかりの委員会では得難い。
 他の議員の意見を聞いた結果、自分の賛否を変えても構わない。普段は議案審査の途中で判断を翻すことはあまりないのではないか。「首長与党」の意識が強いようでは、反対の選択肢は最初からない。会派の過度な拘束により、本意に反する評決態度をとらざるを得ない場合もあるだろう。
 研修会では賛否の判断を変えた議員がいた。他の議員の主張に理がある、その方が住民のためになると判断すれば、ためらうことはない。
 3点目は、議員間討議の限界を知ることだ。いくら時間を費やしても、少人数の議員だけであらゆる事案の是非を判断するのは、そもそも困難である。そこで、テーマによっては議員間討議の前に議会外部から意見、知見を取り入れてみてはどうか。
 まず、議会(所管委員会)と住民との意見交換会が考えられる。議員が把握しづらい生活の悩み、なりわいの実態を知る機会と位置づけたい。専門知識を持つ研究者らを参考人として招き、見解を聞くのも有効な手段だ。専門的知見の活用は地方自治法に定められた議会機能だが、あまり生かされていない。
 研修に参加した議員からは「私たちが審査する前に議案を公開し、住民の意見を募ってみてはどうか」と発言があった。これは議案審査に多様な民意の反映をもたらすと同時に、住民と議会との関係を強める。ぜひ実行してもらいたい。
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研修会に参加した約40人の中には、議員間討議を経験したことのない議員もいた

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