大動物に焦点を絞った対策を
農業に被害を与える動物はカラス、ヒヨドリ等の鳥類に加え、タヌキ、アライグマ、アナグマなどの小動物もいます。
しかし、獣害対策議連では、農業被害にとどまらず人間生活にも影響を与える可能性がある大動物に焦点を絞って対策を講じる予定です。具体的には、イノシシ、シカ、クマ、サルです。この東京でも獣害被害は農業被害から生活被害に拡大していく傾向にあります。
猟友会との連携は
各自治体には猟友会組織があります。猟友会は地域の獣害対策を担っていますが、会員の高齢化や会員数の減少などにより、増え続ける獣害に苦慮しているのが現状です。
私個人は猟友会会員で地元猟友会の皆さんと顔見知りですが、獣害対策議連としては今のところ猟友会とのつながりがありません。私たちの活動方針がさらに明確になった時点で、猟友会代表の皆さんから話を伺うことになると思います。
まずは保守系議員から──近隣未加入自治体へも拡大図る
この会を立ち上げる構想を練っていた時点では、「来る者は拒まず」のスタイルで運営しようと考えていました。しかし、議員の中にも様々な考えの方がおり、動物愛護や自然保護の観点から話を始めようとする方もいることが予想されました。
もちろん私たちも動物愛護や自然保護の精神は尊重していますが、そこをスタート地点とすると、動物による生活被害対策が遅れてしまいます。そこで、まずは考え方の似た保守系議員の集まりから始めることにしたわけです。
現在のところ獣害対策議連は衆院選挙の東京25区内組織であり、普段から交流のある自治体が集まったため、組織化は比較的簡単でした。今後はあきる野市と境を接しているもののあまり交流のない八王子市や、青梅市に隣接する埼玉県飯能市の議員などとも交流を図り、仲間になっていただくことも考えています。
図 東京都有害鳥獣対策議員連盟参加自治体(2024年3月現在)
政策提言も
獣害対策議連は昨年11月に発足しました。今年はまず昨年の各自治体の獣害データを集め、会員間で情報を共有します。有効な対策について講師を招いた勉強会や国、都に対する政策提言もしていきたいと考えています。
さらには、獣害対策議連が自治体の間に入って対策を調整する役目も担っていければよいと思っています。
国は現在、ハンティング愛好者の集まりである猟友会に有害鳥獣の頭数管理等を任せていますが、今後はもっと強制力のある民間組織などでなければ対応しきれない状況になってくると思います。場合によっては、自衛隊などに新たに組織したチームに頭数管理の担い手になってもらうという視点も必要ではないでしょうか。
こうしたことを国に提言できるような影響力のある組織に成長し、私どもだけでなく全国に同じような広域の獣害対策組織が広まっていくことを願っています。