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2022.11.10 議員活動

第5回 委員会活動を中心とした議会の一考察 ─つくばみらい市議会「特定所管事務調査制度」を中心として─

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メリットとデメリット  

 以上のような経緯を経て、つくばみらい市議会では特定所管事務調査が今も行われている。  
 メリットは以下のとおりである。  
 ・一つのことに特化して調査するので、非常に分かりやすい。  
 ・行政視察においても調査項目が特定されているので、市民にも説明しやすい。  
 ・最終報告書に「提言」を盛り込むので、議会から行政に正式に伝えることができる。
 ・調査項目についてだけではあるが、議員間討議が活発になった。  
 デメリットとして考えられることは以下のとおりである。  
 ・特定した調査項目が主なものなので、他の項目の調査が行われない危険性がある。  
 このように、多くのメリットがある反面、デメリットはあまり見当たらない。これは、あくまでも私の主観であるので、今一度実践しながら検証していきたい。

考察  

 つくばみらい市議会では、特定所管事務調査制度を導入したことによって、議会活動が活発になった。以前の委員会活動は、開会中に開催して付託議案の審査を行うことが主で、それ以外の調査活動はほとんど行われていなかった。しかし、現在は特定所管事務調査を行うため、閉会中にも委員会を開催し(閉会中の委員会はほぼ毎月開催されている)、調査活動を行うとともに、その他の調査事項にも幅を広げている。具体的には、行政からの報告事項を議題として、行政との情報共有ができている。  
 3常任委員会がほぼ毎月開催されていることから、事実上の「通年議会」であるといっても過言ではないと思っている。委員会で常に登庁している議員たちは、すでに「臨時議会」の開催には抵抗がないように思われる。そのため、臨時議会の開催には即応態勢ができている。定例会でしかできない事項もあるといわれるかもしれないが、それは当然、定例会で行えばよい。通年で開催している議会よりも、いつでも開催できる議会の方が、私には合っていると感じるのである。  
 また、紙幅の都合で詳細は割愛するが、委員会での行政報告については、委員外の議員には、つくばみらい市議会で連絡手段として採用しているLINE WORKSを使って随時報告している。つくばみらい市議会では、LINE WORKSで流れてくる情報は毎日数件、多いときには10件を超えることもあり、必須の情報提供ツールとなっている。この運用等については、地元新聞にも取り上げられた。今年はタブレット導入も予定されており、LINE WORKSでは閲覧が厳しい(小さくなってしまうなど見にくい)大容量の情報提供も、今後は容易になっていくと思われる。  
 次に、行政視察についてであるが、先にも述べたように調査項目が決まっているので、「所管事務調査」の複数項目の視察を組むことはない。そのため、例えば「今日は総務関係の視察、明日は企画関係の視察」のように広く浅く視察調査することはなくなった。したがって、「どこに行く」という感覚から「何を見る」にシフトした。「視察なんていってもただの議員旅行ではないか」といわれるなど、なかなか市民には理解してもらうことが難しい行政視察であるが、つくばみらい市議会では、行政視察と特定所管事務調査に特化したこと、最終報告書に視察報告を詳細に盛り込んだことから、多少ではあるが市民への説明は果たせているのではないか、と考えている。

まとめ  

 特定所管事務調査制度を通じて、つくばみらい市議会は「受け身」の運営から「積極的」な運営に変化したと感じている。市民の声をどのようにしっかりと行政に伝えるかを具現化したのが特定所管事務調査制度であり、これからも改善を進めていきたい。従前に比べて、議員が議会に関わる時間ははるかに増えたが、全く苦にはなっていない。かえって生き生きとしているように見受けられる。その議員たちのキラッとした意識、意気込みは、市民の意識を反映していると思っている。「市議会を見れば、その市民の意識が分かる」といわせたい。そんな思いでこれからも活動していくことを信じてやまない。

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