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特集 地域を結びなおす公共交通

2022.11.10 政策研究

持続可能な地域づくりと地域公共交通の統合

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5 キーとなる地域コーディネーター

 地域公共交通の活性化に限らずではあるが、地域において未来に向けた大胆な変革を図ろうとするとき、地域コーディネーターの存在とそれを専門的に支援する人や機関が重要である。地域コーディネーターとしては、総合交通と地域づくりの一体的推進を任とする行政職員の仕事が不可欠である。地域コーディネーターの担うべき仕事を列挙してみよう。
 ① 持続可能な地域づくりの追い風となるゼロカーボンやSDGs等の理念や内容をかみ砕き、地域主体に伝え、学習を促す仕組みの企画・運営、またコーディネーター自身による専門用語の翻訳と地域主体とのコミュニケーション。
 ② 持続可能な地域づくりと地域公共交通の将来像を、地域主体によって描き出すためのコーディネート、異なる考え方を持つ地域主体の対話と相互理解の促進。
 ③ 持続可能な未来への思いを地域主体と共有し、課題を持った地域主体に寄り添いながら、きめ細かく支援する伴走。
 ④ 持続可能な地域づくり、あるいは地域公共交通の利用において重要な存在となる高齢者・子ども、障がい者等と一緒になった、誰一人取り残さない取組みの推進。

 

6 地域外の専門支援者との連携  

 最後に、筆者が岡山にいたときにお世話になった両備グループによる他地域の事業支援の取組みを取り上げる。和歌山電鉄貴志川線の再生の取組みである。同線は南海電鉄時代に赤字で営業廃止となったが、両備グループが提唱する「公設民営」の手法を取り入れ、再生に成功した。具体的な取組みとしては、合理化による運行経費の削減とともに、いちごやおもちゃ、うめぼし等をテーマにしたデザイン車両の導入、駅で飼われていたネコを駅長にするというアイデア事業がある。
 両備グループによる支援は、沿線の住民が電車利用への呼びかけや署名を繰り広げ、地域行政と一体になった活動を示したことから実現した。この点で、地域主導性が重要であるといえるが、それとともにノウハウのある地域外の交通事業者の支援が有効である。
 内発的に地域づくりを進める地域コーディネーターが中心となることが重要であるが、その上で、地域外からの専門的支援を得ていくことが、地域公共交通の活性化の有効な手段となるだろう。

 

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