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特集 地域を結びなおす公共交通

2022.10.25 政策研究

地域交通の再生のために

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 そのため、利便性を高めるための抜本的な対策が必要となる。まず、幹線路線においては、乗継ぎの際の待ち時間を減らし、スムーズな移動を確保するために、バス優先レーンやバス優先信号を設置した上で、パターンダイヤによる多頻度化を図る。また、フィーダー路線との乗換地点──交通結節点──においては、待合室等を整備することで、乗継ぎの負担を軽減する。その際、商業施設やコンビニ、「道の駅」等に交通結節点を設けることも妙案であろう。待ち時間を利用して買物ができる上に、トイレや冷暖房設備も整っていることから、利用者にとっても商業施設等にとってもメリットが大きいからである。
 次に、料金体系の変更や案内表示の改善も必要になる。乗継ぎのたびに負担が大きくなるようでは、利用者の不満は増すだけであるし、観光客や出張者のためにも、複雑化した交通網を分かりやすく説明することも求められる。そこで、複数の交通手段を利用できる共通乗車券(定額制乗り放題運賃)や乗継ぎ割引運賃を導入することや、スマートフォンのアプリを利用した決済制度を活用すること、家族連れでの移動を促進するために団体用の共通乗車券を設けること、アプリを利用した乗換案内を整備すること等の対策が不可欠であろう。
 紙幅の都合上、詳細に立ち入ることはできないが、その他にも様々な改善策が考えられる。具体的な改善策は地域の実情次第であるが、いずれにしろ、地域交通の再編が極めて大がかりなものとなることは理解できるだろう。鉄道網の活用であれば、JRや私鉄、第三セクターなどの事業者との折衝が必要になるし、バス路線の再編についても、運行事業者との調整を進めなければならない。場合によっては、既存の事業者に事業規模の縮小を求めることになることから、強い反対に遭うかもしれない。また、交通結節点の整備やデマンド交通の導入、再編後の交通網の維持等のために、かなりの財政負担を覚悟しなければならない。
 そのため、地方自治体にとって、実効的な再編計画を立案して実行に移すことは容易ではない。そのため、交通政策部門だけでなく、首長や議会が積極的にこの問題にコミットして、固定観念に捉われずに創造的な計画を立てることが求められている。再生化に向けた道のりは長く困難なものであるが、「成らぬは人の為さぬなりけり」という格言にもあるように、街のにぎわいが戻ることを信じて前に進むしかないのではないだろうか。

 

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