議員としての活動
議員活動を続けるためには、選挙で当選しなければならない。ゆえに、政治家としての後援会活動や選挙のための準備は、常に怠ってはいけない。
それと同時に、住民の声を聴き、その声をカタチにしていく。また、自分の想いや考えをカタチにしていくことは、政治を志した者として当然、欲するところと思う。
そこで、若手議員の皆さんに、私から三つのアドバイスをしたい。
(1)地域・団体等との協働
議員活動を一所懸命にやればやるほど、個人をはじめ地域や各種団体等から、様々な苦情や要望を突きつけられる。公的な案件はもちろん、私的なものまで相談されるのも現実だ。ここでは行政に関することで、例えば、草刈りや側溝の蓋かけ、道路や各施設の整備、各種団体からの補助や制度上の要望や提案等を、いかにカタチにしていくかをアドバイスしたい。
まず、その案件の内容が、筋が良いか良くないかを見極め、筋が良ければ正攻法で攻めればよし。ただし、役所の担当職員に口頭で伝えるだけではいけない。後に、言った言わないによる堂々巡りになることが多々あるので、要望書や提案書として書面で提出することを勧める。仮に担当職員が人事で代わっても、書面があれば記録として引き継がれていくし、議会での質問等に取り上げることも可能だ。
要望書や提案書を提出者が不慣れや高齢等を理由に作成できない場合には、私が代理で書面を作成し、提出者から署名捺印をもらったこともある。また、自分が作成する際には、写真等を使用して、文字よりも分かりやすさに力を入れた。
そして、案件のレベルに合わせて、課長、部長、首長と提出先を振り分け、アポイントをとり、必ず提出者と一緒に訪問し、その意思を伝えることが大事だ。
また、内容によっては、マスコミに取材要請をして、記事にしてもらうことが必要な場合もある。
筋が良くない場合は、文書で残すことは勧めない。後にトラブルに巻き込まれることもあるので、口頭で相談するところから始めてはどうだろうか。
(2)役所との協調
行政の執行機関に対し、政策の立案や提言、さらに、事務の執行が適正かつ効率的に行われているかをチェック・評価することは、議員の本分だ。本会議や委員会での質問や発言は、そのためのものであり、その権能を有効に使うことで、想いをカタチにしていく。
例えば、本会議での質問に対し、その内容の聞き取り作業があると思うが、そこでのやり取りが、本番前の前哨戦。自分の想いや意図するところをしっかりと担当職員に伝え、良い答えを導き出すことができればよし。答えが良くない場合は、その回答を分析して、次の作戦を考える。議員活動はその繰り返しだ。
良くない回答を聞いてがっかりすることも多いと思う。役所というところは、往々にして、事なかれ主義がまん延している。新たな取組みは、大変な仕事を請け負うことにもつながるし、仮に失敗すれば責任をとらされる可能性があるので、余計なこと・新しいことは極力嫌う傾向にある。そんな折、議員から、他の自治体の成功事例を示してあげると、意外とスムーズにカタチになることもある。
私は、議会図書館等で各自治体の先進事例を常にチェックし、興味があれば、議会事務局の政務調査担当に依頼して資料を取り寄せる。さらには現地を視察し、直接話を聞くなど、その事例を議員として示すことで、想いをカタチにしてきたケースは数多い(情報収集には、全国若手市議会議員の会のネットワークは大変役立った)。
次に、役所の職員もヒトであることを忘れてはならない。表向きは議員に対していい顔をしていても、心の中は分からない。若手議員であれば、若手職員や係長から相談していくのが大事。頭ごなしに部長や課長から攻めると、往々にして担当者レベルでへそを曲げられるケースが多々あるので注意を。
また、普段から役所内を回り、職員とのコミュニケーションを図るとともに、信頼できる仲間づくりを勧める。その活動から様々な情報をキャッチすることが可能になり、議員活動がより充実していくこと間違いなし。