4 今後の展開
今回の取組は、「対話と傾聴」をベースに企業の自己変革力向上といういわば企業の足腰を鍛える企業支援の実践を通じて、地域中核企業に対する伴走型支援の手法を確立し、これを県や基礎自治体が運営する地域支援機関、地域金融機関、中小企業診断士等支援人材に普及させていくことを主眼としている。そのため関東局は、取組開始から年度ごとに報告書を局ホームページで公表するとともに、関東以外の地方経済産業局や、本取組において連携する県・自治体へ、研修等を通じた支援ノウハウの提供を進めており、来年度はそれらの組織が主体となった伴走型支援が全国各地で行われる見通しである。
図8 今後の展開
5 地方自治体の役割─民間コンサルタントとしての意見─
今回の取組において支援先企業を選定する際は、地域未来牽引企業等、地域経済を牽引する中核的企業の中から、地方自治体が中心となって候補となる企業をリストアップし、関東局と協議の上決定するというプロセスを踏んでいる。地域活性化のために、地域の中核となっている企業の「稼ぐ力」を向上させ、新たな雇用機会の創出や、地域企業との取引拡大を目標としているが、それに適した企業を選定する作業では、各企業の置かれた状況を熟知している地方自治体の役割が極めて大きい。
また、伴走型支援の終了後に、その企業の自走化が順調に進んでいくか見守っていくことになるが、このフォローフェーズでの地方自治体や地方の支援機関の役割も重要である。企業の自走化の定着は短期間では無理で、数年以上かかることが一般的である。関東局の伴走支援終了時点では、企業が自主的に課題を設定し、自前で解決するという体制ができて、活動がスタートする段階であって、それが定着していくには、企業がいろいろな課題にぶつかりながら進んでいく状態が続き、そのフォローには関東局のみならず自治体や地方支援機関も関与することが重要と思う。
また、関東局の伴走型支援活動に一緒に参加することで伴走支援手法をマスターして、地方自治体版の官民合同伴走型支援事業を開始することも期待される。この場合、地方においても民間の伴走コンサルタントを育成し、地域で企業の成長を後押しする体制づくりが望まれる。関東局では、そういった人材育成の支援について、これからも力を注いでいく計画である。
令和元年6月より、官民合同伴走型支援活動に参画しているが、企業の「本質的課題」を取り上げ、自己変革力を身につけてもらうという支援手法は、時間と手間はかかるものの、確かな手応えを感じている。令和4年度はこの活動を全国に広げていくことになるが、地方自治体の皆様と力を合わせて地域活性化につなげるべく全力で取り組みたい。
〈参考1 「プロセス・コンサルティング」について〉
〈参考2 用語集〉