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2022.03.10 政策研究

官民合同伴走型支援による地域中核企業の「自己変革力」向上

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(5)支援先企業の傾向
 昨年末までに地域未来牽引企業を中心に延べ49社を対象に支援し、29社の支援が終了した。
 支援企業の課題の傾向として、表の課題は「営業強化」、「事業計画の策定・実行管理」や「現場改善・管理手法の導入」等、裏の課題は「組織的経営への移行」(個人依存からの脱却)、「経営管理への意識改革」(感覚的経営からの脱却)、「トップと現場の意識・現状認識の共有」等が顕著であった。
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図7 支援先企業の傾向

(6)支援事例(事業内容や役職名は一部改変)
① 製造業A社(医療機器関連)
 医療関連の精密機器を製造するA社は、売上数百億円、従業員も500人を超え、国内数か所の事業所を有する地域の有力企業である。経営の柱となる複数の事業部門があるが、創業以来、事業所管理制を敷いてきたため、事業部門ごとの経営管理が不十分で、セグメント別収益構造も見える化できていない。経営陣は官民チームとの対話を通じ、改めて経営管理の改善を課題と認識するが、創業者である相談役の意向が気になり、改革を決断できない。  
 このような状況で、相談役が改革の心理的障壁であることを理解したチームは、将来的な事業部制を視野に入れつつも、まずはセグメント別の収益管理から始める緩やかな改善案を役員全員で相談役に共同提案するよう関係者に助言。作戦は功を奏し、提案は経営会議を無事通過、同社は現在、社内チームにより改善策の実行を進め、収益性の改善につなげている。

② 卸売業B社(日用品・化粧品等)  
 日用品等の卸売業であるB社は、創業者である現社長の商才により、約30年で売上約百億円の地域を代表する企業に成長。70歳代となり、事業承継を意識し始めた社長は、長男への承継を念頭に株式譲渡には着手したものの、社内や本人への具体的な意思表示は後回しにされ、長男自身も「経営を任されている実感はない」と話すなど、後継者としての自覚も十分ではないことが官民チームのインタビューで明らかとなった。また、同社は社長がすべてを取り仕切る典型的な文鎮型組織で、組織図すら作成されていないことも、事業承継に向けた不安要素と認識された。  
 伴走コンサルタントから長男の本意等についてフィードバックを受ける中で、社長はようやく現状を問題と認識、後継者問題に本気で向き合うことを決心し、経営会議において長男を次期社長とすることを宣言。チームの提案で経営者育成も兼ねて長男をリーダーに社内組織の整備を進めることも決定し、組織再編が進められた結果、社長に集中していた権限が管理職に分散され、属人的経営から組織的経営への転換が図られつつある。

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