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2022.03.10 政策研究

官民合同伴走型支援による地域中核企業の「自己変革力」向上

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経済産業省関東経済産業局 地域企業支援室 チーフコンサルタント 徳田泰彦

1 概要

 関東経済産業局(以下「関東局」という)では一般財団法人日本立地センターの協力を得て、令和元年6月より中小企業が成長に向けて自ら経営改革を進める「自己変革力」向上を目指した官民合同伴走型支援に、地方自治体を巻き込んで取り組んでいる。従来は、経営者から課題解決の依頼があり、関東局職員がその解決策、例えば補助金や税制等の公的支援策を提示する「課題解決型」の支援が行われてきた。しかし、「課題解決型」支援では、企業の中長期の成長に資する根本的な課題解決につながらず、その場しのぎの支援になるケースも見受けられた。  
 そこで、今回の伴走型支援では、経営者との対話と傾聴を繰り返しながら、経営者が表面的な経営課題の背後にある本質的な課題に気づき、納得し、解決に向けた行動を決心するよう働きかけることを重視している。これはいわば、企業が自ら成長に向けて自分自身を変えていく「自己変革力」向上への支援である。  
 従来と異なるどういった支援手法を提供しているのか、企業が「自己変革力」を身につけるにはどのような活動を行うのか、その活動で地方自治体はどのような役割を果たしているのかといった点を紹介し、皆様と一緒に、中小企業経営支援による地方活性化への道筋を考えていきたい。

2 取組の背景  

(1)地域の抱える問題
① 「良質な雇用機会の不足」が招く人口流出  
 地域経済の基盤となる若年世代の人口は、関東局管内(関東甲信越及び静岡)においても、地方から首都圏(1都3県)への流出が続いている。調査では、地方公共団体が考える人口流出最大の要因は「良質な雇用機会の不足」とされ(総務省「地域におけるICT利活用の現状に関する調査研究」(2015年))、管内における首都圏と地方の月額給与格差は、20歳代前半で約2万円、30歳代後半では約6万円と大きく差がついている(厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(2018年))。

② 「稼ぐ力」向上を起点とする地域活性化  
 このように現状では「良質な雇用機会の不足」が人口流出を招き、それがさらに地域の経済基盤(域内需要・労働力)を劣化させる悪循環となっている。そこで関東局は、地域中核企業の「稼ぐ力」を高めることで、その稼ぎが給与や域内需要の形で地元に還元され、人口流出の抑制と地域の活性化が図られる好循環の創出を目指している。

(2)「稼ぐ力」向上に必要な経営改革  
 企業の稼ぐ力の源泉は何であろうか?  従来の大量生産モデルの産業構造において、大手企業を頂点とする取引構造の中にある中小企業は、QCD(高品質・低コスト・短納期)をひたすらに追求する、いわゆる「職人型経営」により、受注を得て利益を確保してきたが、大手企業もグローバル調達が主流となり、取引構造が変容する中で、中小企業も独自の商品開発と販路開拓、大手企業への提案型営業による受注獲得といった「付加価値を上げる経営」への転換が必要となっている(図1)。
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図1 経営改革の方向性

 多くの経営者はこれを認識しているが、日々実務に追われ、また社内外に様々な人的しがらみも抱える中で、経営者が自力で改革を進めるのは容易ではない。そこで関東局は、企業の経営改革に向けて、外部の第三者によるプッシュ型(支援者側からのアプローチ)による伴走型支援に取り組むこととした。

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