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2021.12.10 議員活動

第8回 議員提案条例から「政策の実現」を考える

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首長提出条例への対応のコツ

滝口〔弁〕  この【明確化プロセス】は首長提出条例を精査するときにも利用できませんか。
尾畠〔弁〕  おっしゃるとおりです。議員修正の意義というのは、住民ニーズと政策とのギャップを正確に測定して修正させることにあります。この方法は、実は先ほどの議員提案条例での【明確化プロセス】と同じです。
滝口〔弁〕  議員修正のために役立つテクニックを教えてください。
尾畠〔弁〕  まずは「立案情報の収集」が大切です。パブリックコメントもすごく参考になると思います。一読するだけで条例案の全体が見えてくるでしょう。住民が関心を抱いている論点やそれに対する首長の考え方を知ることができます。

罰則と「理念条例」

滝口〔弁〕  さて、話を議員提出条例に戻したいと思います。何かの行為を規制する際に、罰則を定めることは有効です。罰則を定めた議員提案条例の例はありませんか。
尾畠〔弁〕  例えば、千葉県暴走族条例では「5万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」が定められています。ただ、罰則が定められている議員提出条例はそう多くはない印象です。
加藤〔議〕  全国一律に近い条例はともかく、全くオリジナルな議員提出条例で罰則を設けることは難しいです。議員提出条例は罰則を定めない「理念条例」にならざるを得ないでしょう。
本目〔議〕  私も議員提案条例は「理念条例」でなければダメだと先輩議員から教えてもらったことがあります。
滝口〔弁〕  どうして理念条例ということになるのでしょうか。条例で罰則を定めるのが難しい理由は何でしょうか。
渡邉健太郎〔弁〕  罰則は刑事罰ですから、構成要件をきちんと整理しなければなりません。地方団体内の担当部局との協議だけではなく、警察庁、検察庁との協議も必要になってきます。
上村〔弁〕  罪刑法定主義は重要な原則です。
渡邉〔弁〕  国会議員が議員立法を目指す場合、議院法制局からの支援を受けることができます。地方議員の場合にはどこかがサポートする体制になっているのでしょうか。自力で条文をつくり上げるのは、弁護士でも難しいのではないかと思います。
加藤〔議〕  地方議会の場合、議会事務局があります。ただ、議員提出条例をサポートする体制になっているかというとそうではありません。一人ひとりの議員の調査能力には限界もありますし、議会事務局のマンパワーの問題もありますよね。
滝口〔弁〕  最近では、自治体内で勤務する弁護士も増えています。彼ら彼女らの協力を得られないのでしょうか。
尾畠〔弁〕  そういった弁護士は首長の指揮命令ラインに入っていますので、首長の指示がない限り手伝うことはできないでしょう。
加藤〔議〕  私としては、議会事務局を強化する必要があると考えています。単に議員提出条例の数を増やすというのではなく、予算のレベルでもっと突っ込んで首長と向き合うこともできるようになるでしょう。

むすびに

滝口〔弁〕  地方自治の二元代表制の中で、議員の皆さん一人ひとりが自分にできることを問いながら活動していることが感じられました。議員と弁護士との相互理解がさらに深まることを祈念し、今回の勉強会を終わりにしたいと思います。

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