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特集 これからの時代の議会評価

2021.06.10 議会改革

組織変革実践例から期待する地方議会評価モデル

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早稲田大学マニフェスト研究所招聘研究員 中道俊之

1 地方議会評価モデルへの期待

 このたび、日本生産性本部の第3期「地方議会における政策サイクルと評価モデル研究会」から成熟度を「物差し」とする地方議会評価モデルが公表された。
 筆者は、執行機関の組織変革と議会改革に携わった。執行機関の組織変革では経営品質向上プログラムを導入した。
 議会改革では「議員間討議」を繰り返しながら議会基本条例を制定し、制定後は経営品質の考え方を参考にして議会の成熟度を「物差し」にした議会評価に関わった。
 その経験から、この成熟度を「物差し」とする地方議会評価モデルは従来の評価とは異なり、各自治体があるべき状態に向かってどれだけ改革改善が行われているかということを明らかにすることができる優れた手法であると思う。その理由と背景を紹介したい。

2 地方分権で一変した地方自治体の役割と責任

 分権改革以前の地方自治体では、機関委任事務に象徴される中央集権体制であったため、中央政府から示された「方針」と「マニュアル」に沿って全国一律の政策やサービスを提供していた。地方議会は、その役割が機関委任事務を除いた特定の領域に限定されていた。その後、分権改革によって国の関与がなくなり、地方自治体は自ら政策やサービスを立案し、決定していくこととなったため、首長をはじめとする執行機関には政策立案能力や執行能力が問われるようになり、議決機関である議会にはその議決責任が問われるようになった。

3 管理から経営へシフトした自治体

 分権改革以前の地方自治体は、中央政府が決めたことを淡々とこなすことがミッションであった。事業の概要、財源の調達方法、執行体制等が例示されていたため、それに沿って粛々と組織を管理し、業務を遂行していればよかった。その後、全国各地でいろいろな形で行政評価が導入され、その行政評価が進む中で各自治体は行政経営、地域経営の重要性を強く認識していった。
 管理型組織では、「決まったこと」を無駄なく効率よく行うことが組織のミッションであったが、経営型組織では、「やることが決まっていない」ため、「何をやるか」を決めるための組織体制や検討方法、調査のための予算、そして何よりも大切にすべき価値観等をしっかり話し合って合意形成しなければならない。「住民のニーズや意思」を反映した独自の政策やサービスを限られた資源で提供するための「選択と集中」、「優先順位付け」が必須となる。自治体は管理から経営へと大きくシフトした。

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