3 日本のSDGsへの取組みと課題対応
日本政府のSDGsへの対応は、平成28(2016)年5月閣議決定により、内閣府に内閣総理大臣を本部長とするSDGs推進本部が設置され、令和2(2020)年12月までの間、9回の本部会合が開催され、日本のSDGs取組み指針、SDGs取組みアクションプラン等が決定され、これらに基づき各省庁による取組み推進が図られています。
(1)官民によるSDGs取組み推進のための表彰制度
内閣府は官民によるSDGs取組みを推進するため、平成29(2017)年12月に官民表彰制度「ジャパンSDGsアワード」を開始し、令和元(2019)年12月までの間、38自治体・団体・企業等を表彰しています。
(2)SDGsによる地方創生への取組み
また、内閣府はSDGsによる地方創生への取組みとして、平成30(2018)年から「SDGs未来都市・自治体SDGsモデル事業」を開始し、平成30(2018)年に29自治体、令和元(2019)年に31自治体、令和2(2020)年に33自治体を選定しています。
(3)SDGs官民プラットフォームによる地方創生への取組み
さらに、内閣府はSDGsの国内実施を促進し、より一層の地方創生を促進するため、平成30(2018)年に「官民連携プラットフォーム」を設置し、令和3(2021)年2月末日現在4,896団体・企業が参加しています。
(4)日本のSDGsへの取組み課題と対応
以上のとおり、日本のSDGsへの取組みは日本政府各省庁が先導して推進しています。
その中で、環境省が公表している「すべての企業が持続的に発展するために─持続可能な開発目標(SDGs)活用ガイド」は一見の価値があります。
現状の官民のSDGsモデルを拝見すると、SDGsの枠組みは計画化できているものの、運用・点検・見直しの方法が構築できていないところが課題と感じます。
その点、上記環境省の「SDGs活用ガイド」は、企業がSDGsを活用するための視点でまとめられており、PDCAサイクルとSDGsを融合したSDGs経営の進め方は、地方自治体のSDGs運営においても有効であり、ぜひ参照されることをお勧めします。
4 私のSDGsとの関わり
ここで、私のSDGsとの関わりを紹介しておきましょう。
私は、現在ICT・情報セキュリティ・海外展開等を支援する経営コンサルタントとして活動しています。
特に海外展開では、日系ブラジル人との偶然の出会いにより、平成21(2009)年9月にブラジル国大西洋沿岸林(マタ・アトランティカ)再生支援のための特定非営利活動法人VERSTAを創設し、支援活動を継続しています。この沿岸林は、アマゾンの4分の1の森林面積を有していましたが、開発により93%が伐採された森林で、UNESCO世界自然遺産に認定され、残存する沿岸林の生物多様性はアマゾンを上回るといわれています。
VERSTA支援活動は、平成24(2012)年の環境省管轄独立行政法人環境再生保全機構「地球環境基金」助成採択から本格化し、令和2(2020)年には二つの民間環境団体の助成採択まで展開し、同年末の植林面積は34.26ヘクタール(東京ドーム7館分)、栽培本数3万3,016本となっています。
VERSTA支援活動はSDGs活動としても位置付けられ、そのモデルはSDGs4+8+15+17⇒SDGs13となっています。
5 SDGsによる地方創生への期待(まとめ)
自治体はこれまで、地域住民のため、地域社会のため、そして環境との共⽣のために求められる行政サービスを提供してきました。しかし、昨今の少⼦⾼齢化による住民構造の変化や住民ニーズの多様化、地域産業構造の変化等により、地域社会の存続が危うくなっているため、官民一体となった地方創生への取組みが課題といえます。
その意味で、SDGsを切り口とした官民一体の地方創生の取組みは、地方が抱える課題解決のために有効な手段となることが期待されます。
(1) 「History Database of the Global Environment」に基づく年央推定・予測人口」による。
■参考資料
◇特定非営利活動法人VERSTAホームページ(https://www.versta.org/)
◇内閣府ホームページ/各省庁等におけるSDGs関連の取組(リンク)(https://future-city.go.jp/link/)
◇内閣府首相官邸ホームページ/政策会議・持続可能な開発目標(SDGs)推進本部(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/sdgs/)
◇環境省ホームページ/総合環境政策・持続可能は開発目標(SDGs)の推進(https://www.env.go.jp/policy/sdgs/index.html)