4 地方議会評価モデルと議会プロフィールの使い方
二つのツールとも、まずは議員、議会事務局職員など個人や、会派、委員会のグループなど、取り組みやすい規模で「やってみる」ことをお勧めしている。
いつ取り組んでもよいが、例えば、改選後、任期の中間地点、改選前など節目のタイミングが特に適している。二つのツールを使えば、「住民福祉の向上」という観点から、議会の「状態」や進むべき方向性を把握できるだけでなく、現在の議会の強みや弱み、成果や課題を具体化できる。その結果を使って、議員、議会事務局職員の共通認識の形成や、活動の振り返り、申し送り等に活用してほしい。
実際の取組みプロセスは次のようになる。
(1)地方議会評価モデル(標準版40確認項目/要約版15確認項目)
① 評価の視点の確認と共有
五つの視点について、概要・着眼点・補足を確認する(表)。それらを読み込み、実際に評価に取り組む前の目線合わせを行う。
表 評価の視点の例
② 「認識」、「方法」、「結果」の三つの観点から評価
ワークシート(図1)に評価を書き込む。直感的に回答してもよいが、確認項目についての解説やポイントが記載してある手引書「地方議会運営の評価ガイドライン」(図2)を参照しながら進めるのがお勧めである(3)。併せて評価を通じての「気づき」等も逐次メモするとよい。
図1 要約版のワークシート
図2 評価の手引書
③ 対話による評価結果の確定
グループで取り組んだ場合は、各人の結果を共有し「なぜそう評価したのか」、「どうしてそう思うのか」を話し合うとよい。対話を通じて、互いの認識の一致やズレを明らかにすることで、評価結果の精度が増すだけでなく、自議会への共通理解や納得感“腹落ち”が生まれる。その上で最後に、評価を行った全員の合議により、総合評価を確定させる。
(2)議会プロフィール
「私たちの議会は」という視点に立ち、①から⑤の順序(図3)で、具体的な言葉を落とし込んでいく。グループで取り組んだ場合はやはり対話によって、内容を確定させる。プロフィール作成によって、自分たちの議会の姿が一覧できるようになるはずだ。ぜひ、行動計画等の策定にもつなげてほしい。
図3 議会プロフィールの取組みプロセス
① 理想的な姿
地域経営において、議会に期待されている役割(ミッション)や、実現すべき議会の理想的な姿(ビジョン)を構想する。
② 現在の姿
議会がこれまでにつくり上げた「仕組み」や「制度」、「取組み」や「運用」の工夫など現状を分析して整理する。
③ 社会環境の変化
議会のあり方に大きな影響を及ぼす可能性が高い地域や社会環境の変化を想定する。
④ 取り組むべき課題
理想的な姿を実現する上での課題を抽出する。
⑤ 活動目標
具体的に取り組む活動目標・アクションを設定する。
大事なのは「評価して」、「作成して」終わりにしないことである。二つのツールは、あえて自由度の高い設計にしており、議会の特徴に応じて設問や確認項目を「カスタマイズ」するような使いこなし方をしてほしいと思っている。