6 「私たちの議会」を言語化する─対話を通じた合意形成
取組みに当たって、最も重要な点の一つが、地方議会評価モデル、議会プロフィールを使った議会内の対話である。
いずれのツールも、まず個人レベルで取り組んだ際には、各人の言葉や解釈、結果に、ばらつきが出るだろう。確認項目のキーワードや成熟度への理解一つとっても、それぞれ異なるのは当たり前だ。
大事なのは、そのばらつきや差異を対話の中で、埋めていく過程にある。「なぜそのように評価したのか」、「なぜそのように書いたのか」について、議員同士が、互いに言葉を尽くすことで、「腹落ち」が生まれる。対話を通じて、自分たちの議会の評価やプロフィールについて合意形成することで、チーム議会として強くまとまっていく。次の一歩が踏み出しやすくなる。
自分たちの議会活動、議会改革、議会の価値創造を「自分たちの言葉」で語れるようになることは、住民の理解を得るための大きな一歩となるのではないだろうか。
7 住民自治の深化へ─二つのツールで“畑を耕す”
地方議会評価モデルと議会プロフィールに取り組むことは、畑を耕すことに似ている。時間も手間もかかる。取り組んだからといって、派手で分かりやすい成果はすぐには出ない。しかし、よい収穫を得ようとするならば、その労力のかかる部分こそが重要になる。
日夜、苦闘する議会、議員、議会事務局の職員にとって、この二つのツールが、住民福祉の向上という議会の価値創造を「見える化」し、議会に自信を与え、住民の理解が深まる─住民自治の深化の入り口になってほしい。
私たち地方議会改革プロジェクトは、頑張る議会を全力で応援していく。この二つのツールを活用して、議会の価値創造をさらに前に進めていただければ幸いである。
次回は、地方議会評価モデルと議会プロフィールの開発背景や構築プロセス、また現在の地方議会における試行事例や活用方法についてご紹介したい。
(1) 「議会からの政策サイクル」とは、議会が住民意見を吸い上げ、議員間の討議を通じ、時には執行部との機関競争も行いながら、議案審査・政策立案に効果的に反映させるための議会活動の基本的なプロセスを指す。決算・予算審査、総合計画の策定・監視など、議会が政策過程全体にかかわることで、住民福祉の向上を図る(江藤俊昭先生提唱)。