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特集 これからの時代の議会評価

2021.03.25 議会改革

議会の価値創造を「見える化」する 〜地方議会評価モデルの挑戦(上)〜

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4 「昨日より今日」の成長を見る─成熟度基準

 評価の際に用いる“物差し”が、議会の成長の程度を示す「成熟度基準」である。
 そもそも、議会をはじめ組織は、意思や感情を持った人間で構成されており、多様性や複雑さ、時間経過で変化するダイナミックさという特性がある。それらを的確に捉え、評価するには、単に議会活動を要素に分解して、その要素の有無や優劣を比較・対照するだけでは、個性が異なる議会を評価し尽くすことは難しい。地域特性や人口の多寡によって、議会の目指すべき目標や抱える課題、優先順位もそれぞれ違う。
 そこで、地方議会評価モデルでは、「住民福祉の向上」を実現する議会へと成長し続けているか、自分たちのステップを検証する「成熟度基準」を採用している。成熟度は三つの要素から成り立つ。

 ① 認識:議会全体で、認識や前提とする考え方が共有できているか。
 ② 方法:議会にある仕組みや制度は継続性を持った取組みとなっているか。
 ③ 結果:議会として取り組んだ結果が生まれているか。

 40の確認項目を、この三つの要素から検討し、評価することで、議会が実現すべき理想的な姿に対しての現状の成熟度=成長の程度が明らかになる。さらに、次の成長の段階に進むべく議会が取り組むべき項目を、高い次元から可視化できる尺度となっている。
 そのため、成熟度基準は、議会間の比較やランキング化には向かない。成長のために比較すべきは、よその議会ではなく、過去の自分たちであり、あくまで昨日より今日、今日より明日に向かって、議会の全員が自問を繰り返しながら、自ら「気づき」を得て、歩みを進めることを重視している。

5 ビジョンと戦略を構想する―議会プロフィール

 議会が住民福祉の向上を実現するため成長し続けるには、現状認識と実現すべきビジョンや目標を設定することは、不可欠だ。地方議会評価モデルにおいてもまずは、【視点1】戦略プランにおいて、議会に「理想的な姿」があるかを問うている。
 議会プロフィールは、議会の基本情報を整理し、議会としての戦略を考えるための枠組みである(図3)。
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図3 議会プロフィール

 議会に期待される役割(ミッション)、現在の姿の確認、実現すべき理想的な姿(ビジョン)を定義し、将来予測を踏まえながら、今後の戦略課題、進むべき方向性を明らかにする。
 議会基本条例のさらなる落とし込みや、自議会の強みや課題を整理することで、議会改革の取組みの第一歩としても使える汎用性の高い設問と設計になっている。
 ただし、議会プロフィールはそれらを一覧性のある形でまとめるだけのワークシートではない。議会プロフィールの作成を通じて、自分たちの議会を「自分たちの言葉」で語れるようになる点に真価がある。

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