4 今後の展望
「笑育」の取組みから、一定の成果が確認された。教育委員会としては、今後、継続して取り組むことを検討している。一方で、「笑育」の取組みを発展させ、児童がこれからの社会を生きる力を培うとともに、より費用対効果に優れた活動にしていくことが求められる。そのために、次の2点の課題を解決する必要がある。
(1)取組みイメージの共有
松竹芸能の「笑育」は、東京都の小学校で実践された例は少なく、テキストどおりとはいえ、教員が手探りで取り組む状況があった。教育委員会としては、各学校に対し、取組みについての成果と課題を明確にし、次に生かすよう指導するとともに、各学校の情報を集約し、発信していく。特に、2018年度の各発表会の様子を共有することで、ゴールイメージを確認し、そこまでのプロセスを明確にさせる。
(2)早稲田大学との連携の強化
「笑育」の取組みは、児童及び学級集団の状態に左右される面があるため、上記「3 効果の検証」で述べた内容が、全ての学級で確認されたわけではない。例年6月頃に実施される第1回のhyper-QUの結果から、「笑育」の取組みにおける強みや課題を学級担任が事前に把握できるようにすることが求められる。そのため、早稲田大学との連携を強化し、分析を進める。
5 おわりに
第5回の発表会では、児童の発想力に多くの大人が驚き、また多くの笑いを生んでいた。児童が発想力を伸ばしていくためには、この「笑育」のように、まずは教育者側が発想力を生かし、よりよい取組みを考案していくことが求められる。児童・生徒がこれからの予測困難な時代を生きていくために、今後も教育活動の充実を図っていく。
■参考資料
◇文部科学省「平成29・30年改訂 学習指導要領 周知・広報ツール」(2019年1月)
◇松竹芸能「『笑育』教員研修会説明用資料」(2018年6月)
(※本記事は「自治実務セミナー」(第一法規)2019年5月号より転載したものです)