──ワールドカフェの専門家を呼ぶ手配をしたのですか。
それはしませんでした。外から専門家を呼ぶにはそのための予算を確保しなければならず、諸々の手続が必要となります。時間がかかるし、面倒でもあります。北上市の研修会で配られた資料などを参考にして、自分が進行役を務めることにしました。取手市の場合、議員が議会事務局を信頼してくださっているので、実現しました。でも、準備作業は大変でした。
ワールドカフェの開催は6月2日で、北上市での研修会のわずか2週間後でした。実際にやってみたら、「これはいい」となりまして、教育や福祉の関係者にも評判が広がっていきました。私もワールドカフェをやってみて、討論よりも対話することが大事だと改めて痛感しました。議会も議員個々が執行部と対峙(たいじ)する今の一般質問の形ではなく、チーム議会としてテーマごとに執行部と対話する方がよいのではないかと思います。
──なるほど。これが今年5月に開かれた「女性議員による意見交換会」(前掲・議員NAVI 2018年5月25日号の記事を参照)でのワールドカフェにつながっていったのですね。ほかにどんな取組みを行っていますか。
前回の改選時(2016年)に全ての議員を対象に議員研修会を実施しました。これも議会事務局が主催したもので、議会力、議員力、議会事務局力、そして、議員と議会事務局の信頼関係アップを目的としました。
研修会は2日間で、いろいろな工夫を施しました。例えば、新人議員3人による模擬一般質問を行いました。答える側の市長役や幹部職員役、そして議長役は、質問する3人以外の議員から抽選で選びました。外れた議員は傍聴席に回り、評価シートに書き込む役になりました。市長役には共産党の議員が当たり、いつもと逆の答える側に回り「大変だった」と話しました。この模擬一般質問は大変好評でした。質疑応答を客観視できたり、違った立場を体験することにもなるので、得るものが多かったようです。
取手市議会の特徴は、議会と議会事務局が一体となって改革を進めている点だと思います。議員の方々が私たち議会事務局を信頼してくれています。もちろん、私たちも議員の方々を信頼しています。それで昨年のマニフェスト大賞優秀成果賞も「取手市議会・同議会事務局」となっていました。