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2018.08.10 議会改革

第3回 岩﨑弘宜さん(取手市議会事務局局長補佐)~議員と事務局がチームとなり、議会改革に取り組む~

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──議会改革が進んでいた藤代町(人口約3万3,000人)は、2005年3月に取手市(人口約8万人)に編入合併されます。17人いた旧藤代町議は2008年2月まで在任特例となり、取手市議会は43人に(現在の定数は24人)。藤代町に採用されてから13年間にわたって議会事務局に勤務した岩﨑さんは、取手市との合併後も議会事務局に配属されました。

取手市役所取手市役所

 私自身は別の部署に行きたいと思っていました。取手市議会事務局は総勢11人となり、うち3人が旧藤代町職員でした。取手市と合併して最も驚いたことは、議員と議会事務局職員の関係でした。上下、主従関係だったのです。
 自治体の若手職員が議会事務局への配属を敬遠するというのもよく分かりました。議員視察への随行などで職員が自分の仕事に疑問を抱いたり、議会事務局そのものに嫌気が差すという話をよく耳にしていましたが、それが理解できました。

──編入合併なので取手市の会議規則などが主に採用され、議会改革が進んでいた旧藤代町議会はそうではない取手市議会に合わせざるを得なかったというわけですね。前に進んでいたのが、合併で大きく後退というのではがっくりきますね。でも当時の取手市議会は、ごく普通の議会だったのではないでしょうか。
 合併して3年後に藤代町出身の議員が議長になりまして、その方が議会事務局に声をかけてくれました。議会事務局職員を1人ずつ呼んで、「変えたいことはないか」と意見を尋ねたのです。その議長さんの発議で議会改革調査特別委員会が設置され、そこから再スタートとなりました。

──具体的にどんな改革をどのように進めていったのですか。
 議会事務局と議員の間に信頼関係のようなものが生まれつつありましたが、やはり議員は議員、職員は職員です。そこで、議会事務局職員が話し合ってまとめた提案事項を正副議長に提示し、議会事務局側の考えを説明しました。そして、正副議長ともにこれで進めましょうと承諾したものを、議会改革調査特別委員会に「提案者 正副議長 事務局」という形で提出しました。私はいくつものメニューを(議員に)提示するのが、議会事務局職員の仕事だと思っています。
 当時、改革したものの1つが「委員会の傍聴自由化」です。取手市議会では委員会の傍聴は委員長の許可制でした。実際に不許可となったケースはないのですが、自分たちの権限の1つという意識があったのでしょうか、許可制のままとなっていました。それで条例改正で、原則公開になりました。「ひびきメール」も藤代町時代から大きく後退して日程や出欠議員名だけの発信になっていましたので、遅刻、早退、離席議員名の発信を復活させてもらいました。質疑の概要や討論内容の発信は認められませんでしたが、議会事務局の若手職員(蛯原康友さん)が議会のインターネット中継を自前で行う工夫をしまして、現在も業者に依頼せずに自力でインターネット中継をしています。

──執行部の反問権も認められました。
 それは2008年第4回定例会からです。取手市議会では、一般質問は一括質問と一問一答の併用制となっていて、質問時間は答弁も含めて60分以内です。執行部が反問権を行使する場合、議員の持ち時間は70分に延長されます。これまでに市長が5回、反問権を実際に行使しました。それから政務活動費に関しては、領収書の原本の添付が義務付けられていまして、報告書など全てがホームページで公開されています。議会事務局職員の議員視察への随行は廃止され、委員会視察の旅費も廃止されました。

──こうした一連の議会改革に関わった岩﨑さんは2011年4月に異動します。旧藤代町時代から19年間に及んだ議会事務局職員生活にピリオドを打つことになりました。
 このときは昇格しての異動でした。実は“長”が付かないと本当の意味で議会や行政を変えられないのではないかと考え、係長試験を受けていました。それに合格し、係長として広報広聴課に異動したのです。そして、2年後(2013年)に広報広聴課の中に新設された市民相談室の室長になりました。ここで子育てや教育、人権問題などいろいろな相談を受け、傾聴することの重要さを学びました。議員にも傾聴体験を積んでいただきたいと思いました。聴く力が議員にとって何よりも大事だと思うからです。その力があればあるほど、発信力も高まると思います。市民相談室にいた2年間で新たな人脈もできまして、その後の議会改革の取組みにつながっていきました。

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