5 議会と町民との関係
第1次議会の活性化は、2010年5月に「議員定数及び議員報酬削減の陳情書」が提出されたことに始まります。陳情内容は、「定数を10人(当時13人)」に、議員報酬は「日当制と期末手当の廃止」でした。陳情については不採択としましたが、このような陳情書が提出される背景を探るため、翌2011年の改選後から本格的に議会の活性化を進めることを決定しました。
第2次議会の活性化においては、町民2,000人を対象にアンケート調査を実施し、議員と話す場がない、議員との距離が遠いなどの意見を参考に「チーム議会」が始動し、「まちなかカフェDE議会・まちなかおじゃまDE議会」などの新たな取組みを始め、議会報告会や議会モニター会議の運営についてはワールド・カフェ方式を採用するなど、対話を重視した議会運営を心がけました。
議員のなり手不足の解消に向けて、議員報酬の「浦幌方式」の協議においても、「議員報酬を上げた方がよい」との町民意見が多く出されたことを鑑みますと、これまで第1次・第2次で進めてきた活性化のための取組みが、町民にも浸透し始めたといえます。そして、全国町村議会特別表彰及びマニフェスト大賞最優秀成果賞を受賞したことや、これら議会活性化の取組みを取り上げていただいたことで、議会が何か動き始めているという印象を町民に与えたのではないでしょうか。
また、議会モニターの方々が、とても熱心に傍聴や各種事業に参加していらっしゃることから、口コミで議会の活性化が広がりを見せていると感じています。
6 議会事務局として議会改革にどのように向き合っているか
議会事務局の仕事は、率直にいって“楽しい”と感じています。私は、2010年4月に議会事務局に配属になり、9年目に入りました。まさに浦幌町議会の活性化とともに歩んできました。
配属された当初は、右も左も分からない状況でしたが、市町村アカデミーの研修などにも1年目から参加させていただき、栗山町議会や福島町議会などに議員と視察に行くことで勉強していきました。
議会改革(活性化)を進める上では、「情報提供・対話・提案」の3つを重視しました。各町村議会が進めている議会改革の情報を議会に対して積極的に提供するとともに、我が町に合った方法を模索し、どんどん提案していきました。決めるのは議員・議会ですから、様々な事例を提案し、一緒に議論をしてきました。通常、私の立場では発言が許されない会議でも、議長や委員長が積極的に説明や発言を認めてくださり、それにより本音の議論ができ、議員との絆(きずな)も深まったと思っています。時には喧々囂々(けんけんごうごう)のやりとりがあったことも事実です。
議会の活性化は、最終的には、「住民福祉の増進を図る」ものでないと意味がありませんので、「何のため、誰のため」を意識して行ってきました。その第一歩として、政策提案が実を結んだことは、事務局職員としてとてもうれしく感じます。
7 今後の展望
二元代表制の一翼を担う議会として、執行機関と対峙(たいじ)しながら、共通の目的である「住民福祉の増進」に向け、進んでいくことが大切であると思います。
議会の活性化は、それぞれの議会の進め方や議会運営があり、統一化できるものではありませんが、その地域に住む住民にとって、より良いまちづくりにつながるものにしなければならないと思います。浦幌町議会が取り組んできた議会の活性化は、先進的な議会になるために進めてきたものではなく、目の前の課題を一つひとつ解決するために取り組んできたものです。その結果として、全国町村議会特別表彰、マニフェスト大賞最優秀成果賞を受賞することができ、行政視察が5倍に増加したことは、議会のみならず浦幌町にとっても大変喜ばしいことであり、テレビ、新聞、関係機関紙などで取り上げていただくことで、町民への情報提供もより広がりを見せています。
議会のガバナンスとして政策形成マネジメントサイクルによる議会運営が始動しましたので、今後は、各活性化施策の充実と新たに追跡調査システムの制度化の調査・研究を進め、さらなる議会の活性化に邁進(まいしん)していきたいと思います。