4 議会の政策提案~議会BCP~予算計上
東日本大震災から7年。この震災を教訓に、当町は、地域防災計画の全面改定を行い、防災ハザードマップの作成、避難所・避難場所の整備、防災行政無線の整備、防災備蓄品の確保など防災体制整備を進めました。
一方、議会は、整備された避難場所等の現地視察、地域防災計画の事務調査、他町の自主防災組織の設置状況及び防災体制の視察を行いました。また、十数年ぶりに再開した道外行政視察で被災地の石巻市を訪問し、被災・復旧・復興状況の視察を行いました。道外行政視察は、財政難のため中止していましたが、行政視察に関する基準を作成し、事前事後研修の実施、視察後の参加全議員のレポート作成などの規定を盛り込み、視察研修費の予算計上に当たっては目的・行先・行程を示すこととし、執行機関協議を経てようやく再開することができました。
これまでの調査や視察で得た知識を我が町の政策に反映するため、改めて地域防災計画を検証する事務調査を行うこととし、300頁以上の計画書を議員と事務局が膝を交えて点検しました。各議員は質疑事項を提出、それを事務局が計画の章ごとに整理した結果、70以上の質疑が集まり、合同常任委員会で慎重に審議を重ねて委員会報告書をまとめました。事務調査後は、議会運営委員会を政策提案プロジェクトチームと位置付け、事務調査で浮き彫りとなった課題及び改善策を整理し、議員協議会で全議員による議員間討議を行うとともに、町民意見の反映として、商工会・農協との一般会議、まちなかカフェDE議会、まちなかおじゃまDE議会での意見交換、防災アンケート調査を実施し、政策提案事項をまとめ、同時に防災基本条例の議会提案も視野に入れて政策提案書の策定作業を進めました。
こうして2017年9月、町に対して「安全・安心なまちづくりを目指す防災体制」に関する30項目にわたる政策提案書を提出しました。また、防災基本条例については、条例に基づき執行するのは町であり、町民と協議しながら補助制度創設や自主防災組織の設立などと並行した条例策定が理想であるため、議会提案とはせず、政策提案事項に議会の条例案として盛り込むにとどめました。
政策提案後、議会としての防災体制や議会機能の維持のため、議会BCP(業務継続計画)と携帯ハンドブックの策定に入りました。
浦幌町議会BCPでは、発災初動期の議員の安否確認は、議員自ら行うことになっています。小規模な自治体では、議会事務局職員も町の災害対応業務が第一となります。また、議員が個別に執行部の災害対策本部で情報収集や情報提供をするのではなく、「議会災害対策会議」を設置することとし、窓口を一本化しました。さらに、議員の公務災害の適用や正式な議会活動の位置付けとするため、議会基本条例及び会議規則の改正を行いました。
政策提案から6か月後の2018年3月の第1回定例会で、議会BCPの策定報告、議会基本条例及び会議規則の一部改正を議決し、町からは地域防災計画等策定委託料や防災備蓄品購入補助金など約2,000万円の2018年度当初予算が提案され、議会の政策提案の一部が実施されることとなりました。また、本会議中に町が実施したJアラートを用いた情報伝達訓練に合わせて、議会初となる議会防災訓練を行うことができました。