３　議会の立場で何ができるか～第２次議会の活性化（2015年～）

（1）議会活性化のための５つの視点
　2015年４月の統一地方選挙は、定数を13人から11人に減らしての選挙となりましたが、現職議員の引退・けが、若手議員の仕事との両立の難しさなどにより、現職議員４人が不出馬となりました。その結果、再選挙がささやかれましたが、最終的には10人の無投票当選となりました。2015年の統一地方選挙では、全国で４町村が定数割れとなりましたが、その中の１つが浦幌町でした。
　2011年から第１次議会の活性化を進め、改選後も引き続き議会の充実・強化を図る予定でしたが、上記選挙での欠員を考えたとき、二元代表制の一翼を担う議会のあり方や、単に議員定数を削減することに議会として危機感を感じました。
　そこで、議会の立場で何ができるかという視点のもと、今期４年間（2015〜2018年）を「第２次議会の活性化」と位置付け、①地方議会の役割（議員定数・議員報酬）、②監視・評価機能の強化、③調査、研修、政策立案機能の充実、④議会組織、議会運営のあり方、⑤町民に身近な・開かれた・町民参加の議会の５項目を「議会活性化の視点」として設定しました。中でも、①において「議員のなり手不足解消」を最優先課題として掲げ、具体的には、選挙制度、議員報酬、選挙費用、しごと（兼業など）、若者・女性、政治への無関心など11項目を検討課題として設定しました。そして、任期前半の２年でこれらを多角的に協議・検討し、後半２年で具体的な取組みを行うことを決定しました。
　議員のなり手不足解消のための具体的な活動として、これまで議会は、大学教授をはじめとする有識者による議員のなり手不足に関する講演会、町民2,000人へのアンケート調査、一般会議（各種団体）、議会報告会、まちなかカフェDE議会、まちなかおじゃまDE議会などに取り組み、2016年12月の中間報告に対するパブリックコメントを経て、2017年３月の最終報告に至るまで、60回以上の協議を重ねました。
　町民アンケート調査結果は、単に統計やデータを活用するだけでなく、質問事項に沿って、「議会・議員・事務局」のそれぞれの立場で何ができるのか解決策を協議する際にも活用しました。議会の活性化においては、この３者が一体となって議会活動を進めることが重要であることから、今まで以上に強靭（きょうじん）な組織へと進化するため、「チーム議会」を打ち出しました。また、アンケート調査結果に、議員に対して要望等を伝える場がないなどの意見があったことから、議員と町民が気軽に懇談できるよう「まちなかカフェDE議会・まちなかおじゃまDE議会」を開催することとしました。

お茶を飲みながら議員と気軽に懇談（まちなかカフェDE議会）

（2）視点①～議員のなり手不足の検証～
　上記のような活動を経て、2017年３月には、「議員のなり手不足の検証（検証報告書）」と題する177頁の最終報告書をまとめました（図１）。その主な内容は以下のとおりです。
①　選挙制度→「被選挙権を18歳以上に」、「欠員の補充のための補欠選挙の要件緩和」
②　議員報酬→「若者手当・育児手当の支給」、「独自の浦幌方式による議員報酬の算定方法の確立」
③　選挙費用→「ポスター、選挙カー費用などの選挙公営の拡大」
④　しごと（兼業）→「サラリーマンが議員として活動できるよう会社に補助金を支給する議会議員チャレンジ奨励・雇用促進事業補助金（仮称）創設の提唱と検討」
⑤　若者・女性→「休暇、休職などの労働環境・社会保障制度の充実」、「少子高齢化対策・女性活躍社会のための法及び基盤整備」ほか
　この検証結果の中から、法及び制度改正が必要なものを10項目に整理し、意見書として国に提出し、また、直接国に出向き要望書を総務大臣や厚生労働大臣に手渡しました。現在は、次期選挙まで残り１年となり、検証報告書に基づき、議員のなり手不足解消に向けた独自の取組みを具体的に進めています。

図１　議員のなり手不足検証結果に係る対応策イメージ