ストーリーも描く
今回の基礎講座は、参加者がグラフィックを使い、議論の見える化ができるようにするための基礎講座だったが、ある程度のスキルが身につけば、議論の場の進行や場の整理をする役割を担うファシリテーターと一緒に議論を設計し、運営することも期待されてくる。
このような手法は、「グラフィック・レコーデイング」、あるいは「ファシリテーション・グラフィック」などと呼ばれ、描く人をグラフィッカーとも呼び、いわば記録係として参加しているように映るかもしれない。
しかし、講師の牧原さんは、「グラフィック・ハーベスティング」は記録のためだけにあるのではないという。実際にグラフィッカーとしての依頼はお断りすることもあるそうだ。なぜなら、グラフィックを加えることは目的ではなく、描くことで中身を共有化し、新しい価値を創造することが目的だからだ。そのためには、企画段階から関わり、議論・対話の進め方を考え、当日も一緒に進めていく。その議論・対話のストーリーも描くことが大切だから、と話されていた。
基礎講座にもあったが、議論・対話をどのように進めて「収穫」へとつなげるか。そのストーリーとなるフレームワークを考えて、参加者と一緒に「収穫」を得ることが「グラフィック・ハーベスティング」となるのだろう。
議会報告会だけでなく、議論・対話の場にファシリテーションを導入するケースが多くなっているが、さらに「グラフィック・ハーベスティング」も導入してはいかがだろうか。
きっと、参加したいという気持ちや意見をもっと言ってみようといった参加意識が高まるに違いない。そこにも大きな「収穫」があるのだ。