4 条例の概要
(1)条例の構成
本条例は、前文なし、本則全13か条、附則1か条、別表からなる。章立てはなされていない。条文の見出しにより構成を示すと以下のとおりとなる。
第1条 目的
第2条 定義
第3条 対象施設等の指定等
第4条 対象地域及び対象施設周辺地域の上空における小型無人機の飛行の禁止
第5条 飛行の許可
第6条 許可の申請書の記載事項
第7条 許可の基準
第8条 変更の許可
第9条 許可の取消し
第10条 安全の確保のための措置
第11条 関係機関への協力要請
第12条 規則への委任
第13条 罰則
附則
(2)条例の内容
本条例は、「要人への危険を未然に防止し、もって会議の円滑な実施、良好な国際関係の維持及び地域の安全の確保に資することを目的」(1条)とする。この目的を達成するために本条例では、平成28年3月27日から5月28日までの間に、「対象地域」と「対象施設周辺地域」の上空において「小型無人機」を飛行させることを、原則として何人に対しても禁止する(4条)。
「対象地域」とは、賢島内の測量点を中心とした半径1,500メートルの範囲の地域と海域である(2条1項)。また「対象施設周辺地域」とは、対象施設の区域とその周囲300メートルの地域であり、対象施設は知事が警察本部長(周辺地域に海域が含まれる場合には第4管区海上保安本部長)との協議の上で指定する施設であり(3条)、指定がされた場合には、当該対象施設に係る対象施設周辺地域等を告示することとされている(3条4項)。伊勢神宮内宮と国際メディアセンターが指定された(平成28年5月20日三重県告示353号)。
対象となる「小型無人機」は、「飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他の航空の用に供することができる機器であって構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦(プログラムにより自動的に操縦を行うことをいう。)により飛行させることができるもの」とされており、航空法で除外される軽量の無人機も対象とされている。他方、有人のパラグライダー等は対象とされていない。
小型無人機の飛行禁止に違反した場合の罰則としては、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が規定されている(13条)。ただし飛行禁止の例外として、知事の許可を受けた者は、事前に公安委員会等に通報を行うことによって小型無人機を飛行させることが可能とされている(4条)。許可申請は飛行させようとする日の40日前までに行わなければならない(本条例施行規則4条1項)。なお、許可の申請については手数料等の規定は置かれておらず、無料で申請を行うことができる。
本条例の10条においては、安全確保のための措置を規定している。ここでは、飛行禁止の違反者又は違反して飛行させるおそれのある者に対して、知事が飛行禁止区域の上空から小型無人機を退去させることその他必要な措置をとることを命じることができる(10条1項)ほか、命令に従わない場合や命令を発するいとまがない場合、また命令の相手方が現場にいないため命令を発することができない場合における、警察官又は職員による即時強制として、「要人への危険を未然に防止するためやむを得ないと認められる限度において、当該小型無人機の飛行の妨害、当該小型無人機の破損その他の必要な措置をとることができる」とされている(10条2項)。この場合には、小型無人機の落下等により損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失の補償がなされる(10条3項)。
附則2項では、本条例は「平成二十八年五月二十八日限り、その効力を失う」と規定され、本条例は時限条例となっている。