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立法事実から見た条例づくり

2016.08.10 政策研究

北海道いじめの防止等に関する条例(下)─いじめ問題をどのように認識し、いかに対応するのか─

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(10)いじめの防止等に関する措置
 第4章は、「いじめの防止等に関する措置」として、23条から27条までの規定を置いている。
(ⅰ) 道立学校におけるいじめの防止等の対策のための組織
 条例23条(法22条)は、道立学校におけるいじめの防止等の対策のための組織を規定する。法22条は、「学校現場におけるいじめに関する問題対処の中核的組織を『常設』で設置することを、各学校に義務づけた規定である」(23)とされている。条例も同様である。
(ⅱ) いじめに対処するための具体的措置
 条例24条(法23条)は、いじめに対する措置を規定する。
ア いじめの通報等の義務等
 条例24条1項(法23条1項)は、道立学校の教職員、児童生徒の保護者等は、児童生徒からいじめに係る相談を受けた場合において、いじめの事実があると思われるときは、当該児童生徒が在籍する学校への通報その他の適切な措置をとることを義務付けている。
イ いじめの確認・教育委員会への報告義務
 条例24条2項(法23条2項)は、道立学校が前項の通報を受けたときその他在籍する児童生徒がいじめを受けていると思われるときは、いじめの事実の有無の確認のための措置を講ずるとともに、その結果を教育委員会へ報告することを義務付けている。
ウ いじめ解消に向けた支援・指導・助言義務
 条例24条3項(法23条3項)は、いじめの事実が確認された場合、道立学校がいじめを受けた児童生徒に対する支援、その保護者に対する情報の提供・支援、いじめを行った児童生徒に対する指導・支援、その保護者に対する助言を継続的に行うことを義務付けている。
エ 学習環境の整備義務
 条例24条4項(法23条4項)は、必要がある場合、いじめを行った児童生徒についていじめを受けた児童生徒が使用する教室以外の場所において学習させる等の措置を講ずべきことを規定している。いじめを行った児童生徒の学習権にも配慮した措置であるが、「いじめを行った児童・生徒に心理的な孤立感や疎外感を与えないよう、一定の教育的配慮のもとに、特別な指導計画などに基づく指導を行うことも求められる」(24)と解される。
オ 情報提供義務
 条例24条5項(法23条5項)は、いじめを受けた児童生徒の保護者といじめを行った児童生徒の保護者との間で争いが起こることのないよう、当該いじめの事案に係る情報をこれらの保護者と共有するための措置等を講ずべきことを規定する。
カ 警察との連携義務
 条例24条6項(法23条6項)は、いじめが犯罪行為であると認めるときは所轄警察署と連携して対処するものとし、生命・身体・財産に重大な被害が生じるおそれがあるときは直ちに所轄警察署へ通報し、適切に援助を求めなければならないと規定する。ここでは、「するものとする」と「しなければならない」という法令用語の使い分けがなされている(25)
(ⅲ) 教育委員会による措置
 条例25条(法24条)は、条例24条2項(法23条2項)の規定により報告を受けたときの、教育委員会の支援措置及び自らの調査について規定する。
(ⅳ) 校長及び教員による懲戒
 条例26条(法25条)は、いじめを行った児童生徒に対する懲戒について規定している。詳細は「6 条例の立法事実の検討」で検討する。

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