(2)犬猫等のふん尿等による苦情の増加
一方で、動物愛護管理法7条では、動物の適正な飼養及び管理を確保するため動物の所有者又は占有者の責務等を定め、さらに、環境大臣は動物の飼養保管に関しよるべき基準を定めることができることとされており、同法に基づき、家庭動物等の飼養及び保管に関する基準(平成14年5月28日環境省告示37号、これまでの「犬及びねこの飼養及び保管に関する基準(昭和50年7月16日総理府告示28号)」が平成14年5月28日に改正)等の基準が定められている。
具体的には、「第5 猫の飼養及び保管に関する基準」において、
1 猫の所有者等は、周辺環境に応じた適切な飼養及び保管を行うことにより人に迷惑を及ぼすことのないよう努めること。
2 猫の所有者等は、疾病の感染防止、不慮の事故防止等猫の健康及び安全の保持並びに周辺環境の保全の観点から、当該猫の屋内飼養に努めること。屋内飼養以外の方法により飼養する場合にあっては、屋外での疾病の感染防止、不慮の事故防止等猫の健康及び安全の保持を図るとともに、頻繁な鳴き声等の騒音又はふん尿の放置等により周辺地域の住民の日常生活に著しい支障を及ぼすことのないように努めること。
3 猫の所有者は、繁殖制限に係る共通基準によるほか、屋内飼養によらない場合にあっては、去勢手術、不妊手術等繁殖制限の措置を講じること。
4 猫の所有者は、やむを得ず猫を継続して飼養することができなくなった場合に、適正に飼養することのできる者に当該猫を譲渡するように努めること。なお、都道府県等に引取りを求めても、終生飼養の趣旨に照らして引取りを求める相当の事由がないと認められる場合には、これが拒否される可能性があることについて十分認識すること。
5 猫の所有者は、子猫の譲渡に当たっては、特別の場合を除き、離乳前に譲渡しないよう努めるとともに、法第22条の5の規定の趣旨を考慮し、適切な時期に譲渡するよう努めること。また、譲渡を受ける者に対し、社会化に関する情報を提供するよう努めること。
6 飼い主のいない猫を管理する場合には、不妊去勢手術を施して、周辺地域の住民の十分な理解の下に、給餌及び給水、排せつ物の適正な処理等を行う地域猫対策など、周辺の生活環境及び引取り数の削減に配慮した管理を実施するよう努めること。
など、猫の飼養・管理に関し具体的な基準が定められている。
しかしながら、全国の平成25年度の猫の引取件数は、11万5,484件で、そのうち殺処分数は、9万9,671件にも及んでいる⑸。都市部の自治体を中心に犬や猫などのふん尿被害について、市民からの苦情や相談が後を絶たず、行政への苦情だけではなく、地域住民間のトラブルも増えており、その対応に迫られている⑹。