今後自治体や議会に望む改善策、政策の提言
かつてセーフティネットとして機能していた縁は衰退し、残念ですが同じ形でよみがえることはないと思っています。今の日本は、失われた縁によるセーフティネットに替わる、新たなセーフティネットが構築され始めている時期だともいえます。国は、「生活困窮者自立支援法」や「子どもの貧困対策の推進に関する法律」をつくりました。しかし、法律に基づく事業の実施は自治体ごとの取り組みとなります。その点で、国がつくった枠組みをどのように活用し、衰退した地域のセーフティネットを新たに再構築できるかは、地方自治体の中でも特に、自治体議員の活動にかかっているのではないでしょうか。生活困窮者自立支援法に基づく任意事業の実施には、それぞれの地域ごとに担い手となるNPO等の社会資源を育てる必要があります。しかしながら、地域によってはNPO側に事業を実施できるだけの組織基盤が整っていない場合も多々あると思いますので、時間をかけてNPOを育てる視点が必要になります。
地域のセーフティネットをより良いものとするために、行政だけでは事業実施が難しい学習支援や就労準備支援、一時生活支援、家計相談支援などの事業をNPO等の非営利団体へ委託することが考えられます。欧米のようにNPOが活躍できる体制を整えることで、結果的に日本国内のセーフティネットがより強固になると私は考えています。自治体議員の皆様には地域のセーフティネットをより強固にするために、NPOへの事業委託を積極的に検討していただきたいと思います。
日本国内のフードバンクはボランティアで活動している団体も多い。今後の活動の拡充や継続には公的な支援が重要な役割を果たす
将来の活動への展望
失われた縁によるセーフティネットを補完するために、新たなセーフティネットを構築し始めているところですが、このセーフティネットの中には、食のセーフティネットが含まれていません。この部分を補完するためには、海外のようにフードバンク活動を推進するための法整備が必要であると考えています。昨年11月には全国フードバンク推進協議会を立ち上げました。協議会の活動として次世代のフードバンク活動を担う新設団体の立ち上げやノウハウ支援、そして政策提言活動に取り組むことによってフードバンク活動を日本国内に定着、発展していけるような環境をつくっていきたいと考えています。