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2015.11.10 議会改革

議会におけるセクハラの実態と今後の課題~性差別体験アンケート調査結果を受けて~

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調査結果の概要

 7月12日、全国フェミニスト議員連盟サマーセミナー in 佐渡を皮切りにアンケート調査を開始しました。当連盟の会員(約200人)にメール・ホームページで呼びかけるとともに、女性都議会議員25人全員、並びに東京市区女性議員404人に議会事務局を通して依頼。また、研修や集会などで直接手渡しをするなどの方法で、配布総数は500通以上に及びました。わずか1か月半ほどの期間でしたが、143通の回答が得られました。
 そしてその結果は、議員あるいは職員から性に基づく嫌がらせや不快な言動を受けたことがある割合は52%。なんと半数以上に上るというものでした。しかも、被害の回数が数えきれないくらい、としたものが、被害経験者の2割近くに上ったことは驚くべきことでした。そして、特に注目すべきことは、1期目のときに性差別被害に遭っている議員が多いという結果でした。
 また、母数は少ないのですが、女性議員1人の自治体の回答者が8人いて、そのうち75%に当たる6人が、「被害あり」と答えています。女性議員比率と被害体験との関係は明確ではありませんが、女性議員比率が10%未満の議会において、性差別体験議員の比率が73%であることからも、女性議員の少なさが性差別被害の可能性を高めていると考えられます。自分たち(男性)の聖域・居場所に侵入してくる異分子だから「嫌がらせをしてもいい」、あるいは「はじめにガツンとやって大きな顔をさせないぞ」といった、男性議員たちの暗黙の了解があるといってもいいでしょう。
 具体的な事例は多岐にわたっています。胸を触る、ズボンの上からお尻をなで「いいケツだな」というなどの身体接触は、民間企業であれば首にもなりかねないレッドカードものです。「女に何ができるんだ」、「女の子なんだからおとなしくしていなさい」といった威嚇や見下し発言は一番多かったものです。女性議員を対等な同僚として認識していない証拠であり、また、「黙れ、そこの女」、「女の分際で!」という発言からも分かるように、女性蔑視から抜け切れていないといえます。「家事はどうなっている?」、「コンパニオンがいるから」といった性別役割分業の押し付けも多くありました。女性だからといって、懇親会などの場面でお酒をつがせることを強要したり、平気で買い物に行かせたりする光景が目に浮かびます。
 集団的セクハラの事例として、“議員の控室でお茶をいれていると、男性議員が話しかけてきて、腰に近い背中に触れた。それを見た他の男性議員が「セクハラか? やられている方が喜んでいるから違うな」といって、部屋中が笑いになった”という記述があり、大勢の中で笑いものにされるという、その女性の痛々しさが手にとるように伝わってきます。
 また、“「セクハラです」というと、「褒めたのが悪いのかね」”と、被害をないものにする構造も報告されています。集計作業は「こんな行為をする人が議員をやっていられるんだ!」、「あるよね、こういったこと、ほんとひどいんだから」というまさに驚きと怒りの連続でした。しかし、男性議員にとっては「何で、いけないの」といったように、性差別行為や発言に無自覚であるといえます。

「自治体議会における性差別体験アンケート報告集」「自治体議会における性差別体験アンケート報告集」

 被害に遭った場所は、本会議場以外にも委員会や他の会議の折、視察先や移動のバスの中、庁舎内や廊下など、どこでもあり、といった状況です。
 自分自身でなくても同僚の女性議員が性被害に遭っていることを見聞きした経験、男性議員への性差別を見聞きした経験なども、併せて聞きました。
 議会の内外で起こる性差別行為に対して、女性議員たちは、どう対処しているのでしょうか。差別的発言に対して、日常的に取り組んでいることとして、おおむね半数の人が何らかの取組を行っていると答えています。その場での抗議が一番多く、そのほか、議会の一般質問で男女平等政策をたびたび取り上げたり、セクハラ防止研修の要望や傍聴を呼びかけるなど、市民と一緒の対応が目指されています。

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