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2015.05.25 まちづくり・地域づくり

〈地方財政〉待ったなしの公共施設マネジメント、議会は何をすべきか

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国の対策が本格化する一方で広がる自治体間格差
~自治体は自前で公共施設の維持・更新が求められるが、対応できない自治体も

 こうした状況を踏まえ、国は対策に本腰を入れ始めている。省庁横断の連絡会議を平成25年10月に設置するや、翌11月には「インフラ長寿命化基本計画」を策定し、国を挙げて計画的にインフラの維持管理・更新を行うための方針と体制を整備した。それを受けて、総務省は平成26年4月に指針を示し、全国の自治体に対して、自ら保有する公共施設等について、「公共施設等総合管理計画」を策定することを要請した(図1)。平成26~28年までの3年間は、計画策定に要する経費の2分の1を特別交付税措置する財政支援策も打ち出され、平成27年4月1日現在の総務省調査では、全ての都道府県・市区町村が公共施設等総合管理計画を策定する予定であると回答している。

図1 公共施設等総合管理計画の策定に関する取組の内容と財政措置図1 公共施設等総合管理計画の策定に関する取組の内容と財政措置

 ただし、その策定(予定)年度の内訳を見ると、平成26年度までに策定済みの自治体はわずか4.2%にすぎない。平成27年度中に策定予定の自治体も26.3%にとどまる。残りの約7割に及ぶ大多数の自治体は、平成28年度以降に策定することとしている(図2)。これらの自治体の中には、まだ具体的な策定作業に入っておらず、体制も未整備で、どこから手をつければよいのか分からない、という状況の自治体も少なくない。

図2 公共施設等総合管理計画の策定に関する取組の内容と財政措置図2 公共施設等総合管理計画の策定に関する取組の内容と財政措置

 計画を策定した自治体に対しては、計画に基づく公共施設等の除却や集約化・複合化、転用に対する地方債の発行を特別に認める新たな特例措置が創設されている。早い段階で計画を策定した自治体の中には、早速これらの特例措置を活用して計画の事業に着手する自治体も見られ始めている(1)
 このように、自治体が自らの責任で公共施設を維持・更新する方向性が示されている中、すでに計画を策定し、国の支援措置を活用して具体的な行動を始めている自治体がごく一部で見られる一方で、計画策定の見通しさえ立っていない自治体も少なくない。自治体によって取組に大きな差が生じているのが実情である。しかも、取組が進んでいるのは、公共施設の保有量が他の自治体より少なかったり、財政的に余裕があったりするような比較的恵まれた自治体であることが多い。直ちに踏み込んだ取組が必要な深刻な状況にある自治体は、深刻であるがゆえに有効な解決策を提示することが難しく、手がつけられないようなケースもある。また、小規模な自治体は、計画策定のための体制が十分に整備できず、先送りになりがちな傾向もある。こうした自治体は、今後短期間で急いで計画をつくるとしても、形式的な計画しか作成できない可能性もある。そうしている間にも公共施設の老朽化は進行し、抜本的な対策がとられないまま問題がより深刻化することも考えられる。

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