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立法事実から見た条例づくり

2015.01.10 政策研究

安全で快適な逗子海水浴場の確保に関する条例 ─原点回帰のためのゼロベース・リセット条例─

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1 はじめに

 今回は、安全で快適な逗子海水浴場の確保に関する条例(平成26年逗子市条例6号。以下「本条例」という)を取り上げ、その立法事実を検討する。本条例の施行規則(同年逗子市規則3号)を「本条例施行規則」という。
 三浦半島北西部、相模湾に面する逗子市(以下「市」という)は、人口5万7,000人余を擁し、鎌倉、葉山などとともに海水浴場のある観光都市であり、産業形態は、第3次産業のサービス業、小売業がほとんどを占めている。京浜急行線とJR横須賀線の始発駅があり、東京駅までは約1時間、横浜駅までは約30分と交通の便が良いため、首都圏のベッドタウンとなっている。
 前年夏の治安悪化や風紀の乱れを受けて、2014年3月3日に公布・施行された本条例・本条例施行規則は、海水浴場開設期間中の砂浜での飲酒・バーベキューの禁止(海の家では可能)、他人を畏怖させ海岸利用を妨げる入れ墨・タトゥーの露出禁止、スピーカー等の拡声装置の使用禁止、海の家の営業は18時30分までとするなど「日本一厳しい」規制内容で社会の注目を集めた。

2 条例制定の背景

(1)クラブ化する海の家と客のマナー悪化
 逗子海岸は遠浅で波静かなファミリービーチだったが、10年ほど前から、若者を呼び込もうと「クラブ化」する海の家が目立つようになり、大音量で重低音の音楽を流すため、騒音が問題となっていた。また、これらのイベントに集まる客のマナーが悪く、近隣住宅地で泥酔して、大声を出したり、おう吐したり、庭先にごみを投げ込んだりするケースが多発して、子どもを持つ住民から不安の声(子どもを夜歩かせられない等)が上がっていた。

(2)条例による規制
 市では、2008年、安全で快適な逗子海水浴場の確保に関する条例(平成20年逗子市条例12号。以下「旧条例」という)を制定し、その後も一部改正をしてきた。しかし、2013年7月14日には、逗子海岸付近で海の家の客同士(暴力団関係者)の殺傷事件が発生した。また、同年夏は、風紀、海水浴客のマナー、騒音等に関する苦情が124件と近年最多となった。
 同年8月7日、市は、逗子市長、逗子警察署長、神奈川県(以下「県」という)の地域県政総合センター所長、土木事務所長及び保健福祉事務所長の5名で構成する「安全で快適な逗子海水浴場を取り戻すための対策協議会」(以下「対策協議会」という)を設置した。平井竜一市長は、現状を一度リセットして安全で快適な逗子海水浴場を取り戻す必要があると表明し、市が目指すファミリービーチを取り戻すため、対策協議会で、海の家での音楽全面禁止や海の家の営業時間短縮、入れ墨を露出した人の入場規制など、2014年度における規制強化に向けた条例の改正を検討することになった。

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