元・大和大学政治経済学部教授 田中富雄
本稿では、民主主義と議会に関し〈自治〉〈コモン〉〈ケア〉〈自他〉について再考します。そして、その上で政策過程において、これらの言葉を発するときの「自治体議員の発言に期待される含意と政策」について考えたいと思います。
未来を考える行為は人を動かす
杉並区長の岸本聡子によれば、岸本は長期休暇をとって日本に帰国した際に、市民運動のプラット・フォーム「住民思いの杉並区長をつくる会」から「3か月後の区長選挙に立候補してほしい」という打診を受けたそうです。そして、突然の出馬要請を引き受けたのは、地方自治こそが民主主義を再起動させる最重要のカギであると長らく考えていたからだといいます。引き受けるに当たり最も心を動かされたのは、数年も前から政策集を準備していたという市民の「自治」の実践であったといいます。自分たちで問題を発見・共有し、政策までまとめた上で、それに賛同してくれる候補者を探すという、あるべき「自治」の姿を杉並区の人たちが実践していることが、私の無謀ともいえる立候補へと背中を押してくれたわけですと述べています(岸本 2023:87-88)。
このように、未来を考える行為は、人を動かす大切なものといえるでしょう。特に、市民と市民の話し合い、市民と自治体政府(議会・行政)の話し合いは重要です。
つづきは、ログイン後に
『議員NAVI』は会員制サービスです。おためし記事の続きはログインしてご覧ください。記事やサイト内のすべてのサービスを利用するためには、会員登録(有料)が必要となります。くわしいご案内は、下記の"『議員NAVI』サービスの詳細を見る"をご覧ください。