元・大和大学政治経済学部教授 田中富雄
はじめに
本稿では、「『自治体再構築』の現状と課題」と、これらに関する事項等について再考します。そして、その上で政策過程において、これらの言葉を発するときの「自治体議員の発言に期待される含意と政策」について考えたいと思います。
「自治体再構築」
南島和久が『自治体政策学』の中で紹介するように、「自治体再構築」は政治学者・松下圭一による造語といわれています。そして、「自治体再構築」は、①2000年分権改革、及び今日の②財政緊迫を踏まえた自治体のあり方を構想しようとする概念です(松下 2004:3)(南島 2024:11)。
南島によれば、「自治体改革」はこの時期(1960年)〔( )内は筆者補〕以降の松下の持論となりました。さらに、松下の所論は、1970年代の「シビル・ミニマム」論を経て、美濃部都政下での東京都中期計画や武蔵野市の市民参加論にも結実していきました。2000年代になると、松下は「自治体改革」に代えて、「自治体再構築」という用語を好んで使うようになっています。この背景にあったのは、①分権改革の進展と、②財政緊迫という新たな自治のステージでした。「自治体改革」にしろ、「自治体再構築」にしろ、その底流に流れているのは「地域民主主義」を問おうとする姿勢でした(南島 2024:15)。
ここで注意すべきは、「民主主義」という言葉です。土山希美枝によれば、「民主主義」はデモクラシーの訳語として生まれましたが、デモクラシーの意味は「大衆(人々)が権力をもっている」状態を表しています(土山 2024:27)。そうであれば、「デモクラシー」も「民主主義」も、最終的な権力(権力の根源)は、大衆(人々)にあるということです。そして、議会や行政は、大衆(人々)の代表機構ないし代行機構にとどまるということです。このことを踏まえれば、自治では「おのずから治まる」と「みずから治める」という二面があるということがよくいわれますが、少なくとも政治・行政・社会の場においては、〈みずから治める〉ことが重要であるといえます。
つづきは、ログイン後に
『議員NAVI』は会員制サービスです。おためし記事の続きはログインしてご覧ください。記事やサイト内のすべてのサービスを利用するためには、会員登録(有料)が必要となります。くわしいご案内は、下記の"『議員NAVI』サービスの詳細を見る"をご覧ください。
