元・大和大学政治経済学部教授 田中富雄
本稿では、「結社、複数性、人権、応答性、マニフェスト、レジリエンス」と、これらに関する事項等について再考します。そして、その上で政策過程において、これらの言葉を発するときの「自治体議員の発言に期待される含意と政策」について考えたいと思います。
孤独を超克するための結社、求められる「親民主主義的結社」との協議・連携
「取り残されることへの恐れ」は、人を「孤独」にさせます。孤独は人にも組織にも社会にも問題をもたらします。例えば、葛藤や差別(逆差別)などを引き起こします。このことは地球規模で見れば紛争(戦争)にもつながります。このような「孤独」に対する処方箋としてバラバラになった社会を解決するものが、結社(アソシエーション)です。このことを、トクヴィル(1805-1859年:フランスの政治思想家・法律家・政治家)はアメリカを訪れ気づいたと、若林恵は紹介しています(宇野=若林 2023:69)。
結社には、私立学校、教会、労働組合、協同組合、NPO、政党など、様々なものがあります。では結社には、どのような性質があるのでしょうか。それを整理したものが表1です。そこからは、結社には民主主義に親和的なものと、反(非)親和的なものがあることが推測できます。そのため、政府(自治体・国)が結社と協議したり連携するときには、「親民主主義性のある結社」か「反(非)民主主義性のある結社」かを判断し、前者とのコミュニケーションに重きを置くことが求められます。
表1 結社の持つ「親民主主義性」と「反(非)民主主義性」
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