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2024.03.25 議員活動

第8回 民主主義と議会③─中間団体とSNS、投票率、不信、議員・議会に求められるもの、政党(会派)、権力分立

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元・大和大学政治経済学部教授 田中富雄

  本稿では、「民主主義と議会③─中間団体とSNS、投票率、不信、議員・議会に求められるもの、政党(会派)、権力分立」と、これらに関する事項等について再考します。そして、その上で政策過程において、これらの言葉を発するときの「自治体議員の発言に期待される含意と政策」について考えたいと思います。

「中間団体の機能」と「SNSの機能」の比較

 はじめに、「中間団体の機能」と「SNSの機能」について考えてみたいと思います。表1では、「中間団体(政党、市民団体、営利法人、非営利法人、労働組合等)の機能」のメリット・デメリットを提示し、併せて「SNS(Ⅹ(旧Twitter)の場合)の機能」についてもメリット・デメリットを提示することで、「中間団体の機能」と「SNSの機能」を比較しています。
 ここからは、中間団体とSNS(Ⅹ)の双方において「自主的に動ける」「先導的に動ける」「アジェンダを設定しうる」というメリットを挙げることができます。「情報伝達」については中間団体よりもSNS(Ⅹ)の方が速やかに、広く行うことが可能です。「人のつながりの速さ」についても中間団体よりもSNS(Ⅹ)の方が急激につながりえます。ただし、「人のつながりの深さ」については中間団体の方に分があるという見方ができるのではないでしょうか。SNS(Ⅹ)は、顔見知りでない人が多く、つながりの深さについては中間団体よりも限りがあると見ることができるからです。「情報発信に当たってのゲートキーパーの存在」や「混乱(炎上)」については、中間団体には何らかのゲートキーパーが存在するため混乱(炎上)しにくいのに対して、SNS(Ⅹ)ではゲートキーパーが不在で混乱(炎上)しやすいといえます。多くの中間団体は、政府と比べて一般的に政策資源(中間団体としての政策資源)である人・組織・資金・物資・権限・情報・時間が限られているという共通点があります。また、中間団体の有無で地域に格差が生じますが、SNS(Ⅹ)を活用することで、その格差を減少させることができます。
 このように中間団体とSNSは、各々では必ずしも十分な成果を果たすことはできません。しかし中間団体とSNSは、互いの機能を発揮し、かつ互いの機能を制御することで、持ち味を活かすことができます。

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田中富雄(元・大和大学政治経済学部教授)

この記事の著者

田中富雄(元・大和大学政治経済学部教授)

1955年生まれ。三郷市(埼玉県)出身。三郷市職員を経て、2017年4月から大和大学政治経済学部准教授、2019年4月から同教授。2020年3月病気のため大和大学を退職。龍谷大学大学院政策学研究科博士後期課程修了。博士(政策学)。専門・研究分野は、基礎自治体の統制/基礎自治体の経営。特に、自治体政府(議会・首長)、自治基本条例、総合計画、公共政策、まちづくりに関心がある。主な論文は、「議会における「議論の可能性」-三郷市自治基本条例を事例として」(村田和代編『これからの話し合いを考えよう (シリーズ 話し合い学をつくる 3)』、ひつじ書房、2020年)、「自治体計画に対する議会の制御」(廣瀬克哉編『自治体議会改革の固有性と普遍性』、法政大学出版局、2018年)、「自治基本条例の成立と展開」(龍谷大学博士学位申請論文、2014年)。

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