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2024.02.13 政策研究

これからの地域社会のための獣害対策~地域政策としての獣害対策~

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兵庫県立大学自然・環境科学研究所教授 山端直人
 

1 正しい対策と体制構築で、獣害は必ず改善できる

 私は獣害対策の仕事をしている。野生動物の研究ではなく、獣害という課題解決とそれが可能な地域社会の構築がテーマである。
 今や、山地周辺の農業集落では、どこでもシカ、イノシシ、サル等の野生動物による獣害が発生する。しかし、「どうしようもない」と諦めることはない。正しく理にかなった対策を講じれば、被害は確実に減らすことができる。
 例えば、地域が防護柵をしっかり設置し、その点検や補修も継続しながら、侵入するイノシシやシカの「加害個体」を捕獲することで、兵庫県相生市の小河集落では350万円ほどもあった被害が、5年後には被害金額ゼロにまで軽減した(図1)。サルを組織的に追い払い、効果的な防護柵も設置しつつ、市や県、研究機関が計画的な群れの頭数管理を進めた三重県伊賀市では、10年前は「仏壇のお供え物をとられた」、「瓦を壊された」など、家屋侵入や人身被害まで発生するほど被害が多発していたが、現在では市全域のサル被害がほぼ解消している。全国的には、このような獣害対策の成功事例が増えている。獣害は決して解決不可能な問題ではない。

 
 

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山端直人(兵庫県立大学自然・環境科学研究所教授)

この記事の著者

山端直人(兵庫県立大学自然・環境科学研究所教授)

兵庫県立大学自然・環境科学研究所教授、博士(農学)。平成5年農林水産省入省。三重県庁を経て平成29年から現職。専門は農村計画学、野生動物の被害管理。 農村の獣害を軽減させることを目的として、アクションリサーチの手法を用いた現地実証により、被害を軽減できるモデル地区の育成や、地域が主体的に被害対策を持続できる仕組みづくり、被害対策の多面的な効果等を研究している。兵庫県、三重県、京都府を中心に多数の集落で獣害を解決するための集落支援に携わっている。 集落の支援手法などは下記HPを参照。 https://sites.google.com/view/naotoyamabata

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