放送大学教授 玉野和志
1 高齢化による自治会・町内会の困難
自治会・町内会については、これまで何度かその存続が危ぶまれることがあった。しかし2000年代に入って、いよいよその存続が難しくなってきたところがある。その大きな背景の一つが、高齢化である。社会全体が高齢化しているのだから、自治会・町内会の担い手が高齢化するのは避けられない。これまでと同じように活動を続けるのが、困難になっているというのが現状であろう。
たとえば、高齢になったことや身内の介護があって、輪番で回ってくる役職を免除してほしいと考える人が増えている。免除を願い出たが認められず、やむなく退会したら、ごみ集積所を使うなと言われたり、周囲の街灯を取り外されたという話もある。町会長になると、連合会をはじめとした様々な役職が充て職としてついてきて、毎日のように会合に出なければならない。こんな大変なことを他の人に代わってもらうことなどできないので、自分の代で町内会を解散することにしたという話も聞く。
高齢化によって担い手が減っているのに、これまでの活動をそのまま維持しようとすれば、無理が来るのは当然である。上のような事例は、高齢化に対して活動のあり方を見直すことが間に合っていないという状況の中で、起こっていることであろう。高齢化が進んでいるにもかかわらず、震災などの災害が頻発することで、自治会・町内会への期待が膨らんでいることも、それらを助長している要因である。
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