公益財団法人山梨総合研究所主任研究員 渡辺たま緒
「人は一人では生きていけないから」──。突き詰めれば、これが表題の答えとなるでしょう。
近年、少子高齢化、多死社会、人口減少、世帯構成やライフスタイルの変化、ネット社会の拡大、そして価値観の多様化により、生き方も千差万別になりました。
スーパーにセルフレジ(無人レジ)が普及しています。日常の買物は宅配やサブスクで済ませる人、仕事も在宅で、必要であればオンラインでやり取りし、直接人と会わずに1日が終わることがある人も多くなっているのではないでしょうか。
様々な場面で「おひとりさま」は当たり前になり、より「個人」で生きやすくなっているようにも感じます。
それでも、若しくはそれだからこそ、ご存じのとおり、人は一人では生きていけないのです。
筆者の知人の大学生は、コロナ禍で大学がオンライン授業になった際、家から一歩も出ず、アパートの一室で黙々とパソコンに向かう1日が終わると、外へ出て目的もなく近所を1時間ほど歩き回ったといいます。実際に動くものを自身の目で見て、風や湿度を肌で感じ、家から夕飯の支度をする香りが漂う現実世界に生きていることを確かめる1時間だったのかもしれません。
彼のような「実態を感じたい派」は、少なくありません。オンラインコミュニティで知り合った人々が頻繁にリアルに会う日程を調整し、地域では、出会いや交流の場、居場所としてのコミュニティカフェも全国各地に展開されています。
一方で、徒歩圏内のリアルコミュニティの筆頭であり、70年余の歴史を持つ「自治会」の加入率は減少の一途をたどっています。高齢化、担い手不足などの課題が山積し、自治会を解散したり、自然淘汰(とうた)されたりする地域も増えています。
では、自治会はコミュニティカフェのような別の形態に置き換わるべきなのでしょうか。
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