関東学院大学法学部地域創生学科教授 牧瀬 稔
本連載の意図
近年、「シビックプライド(Civic Pride)」に注目する地方自治体が増えつつあります。例えば、川崎市、八王子市、岐阜市、勝浦市、春日市など、行政計画にシビックプライドを明記する自治体は枚挙に暇(いとま)がありません。
シビックプライドは、「都市に対する市民の誇り」という概念で使われることが多くあります。
確かに、シビックプライドは注目されていますが、シビックプライドに関する研究の蓄積は少ない現状があります(シビックプライド政策の効果に関する研究は緒に就いたばかりです)。そのためシビックプライドの効果が明確に出ていません(シビックプライドの理論化はこれからです)。
数少ない研究成果になりますが、シビックプライドの成果として、自治会・町会活動の活発化や住民の転出抑制に影響を与えることを指摘する学識者がいます。また、Uターンの増加を示唆する研究もあります。シビックプライドには多くの可能性があるといえます。
シビックプライドの先進自治体に、相模原市とひたちなか市があります。相模原市は「さがみはらみんなのシビックプライド条例」を制定しました。条例名に「シビックプライド」という言葉の入った全国初の条例です。相模原市は同条例を根拠としてシビックプライド政策を着実に進めています。
ひたちなか市は各施策にシビックプライドの要素を入れ、政策を戦略的に展開しています。
2023年10月29日に、筆者の所属する関東学院大学において「住民自治を実現するシビックプライドの可能性」というテーマでシンポジウムを開催しました(写真1)。同シンポジウムは、本村賢太郎・相模原市長、大谷明・ひたちなか市長をお招きし、シビックプライドの現状における具体的取組みや利点等を講演していただきました。
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