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2023.09.25 政策研究

神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例~ともに生きる社会を目指して~

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神奈川県福祉子どもみらい局共生推進本部室

1 条例制定の趣旨・概要

  平成28年7月26日、県立障害者支援施設である津久井やまゆり園において、「意思疎通が図れない人間は生きている意味がない」という間違った考えを持った同園の元職員により19人の利用者のいのちが奪われるという大変痛ましい事件が発生しました。神奈川県(以下「本県」という)はこのような事件が二度と繰り返されないよう、平成28年10月に県議会と共同で、「あたたかい心をもって、すべての人のいのちを大切にする」旨等を定めた「ともに生きる社会かながわ憲章」を策定しました。
 事件後に、県立障害者支援施設の利用者に対するより良い支援のあり方について検討を進める中で、本人の意思を尊重し、本人が望む支援を行うためには、当事者本人の目線に立つことが重要であり、改めて、その実践こそが、お互いの心が輝く「当事者目線の障害福祉」であるとの考えに至りました。そして、令和3年11月に、これまでの障害福祉のあり方を根本的に見直し、当事者目線の障害福祉に転換することの決意を、「当事者目線の障がい福祉実現宣言」として発信しました。
 また、令和3年6月に本県が設置した「当事者目線の障がい福祉に係る将来展望検討委員会」において、20年後の神奈川の障害福祉のあるべき姿の実現に向けた議論を行いました。議論の中では、中長期的な視点から行政のみならず、事業者や県民を含めオール神奈川でどう取り組んでいくべきかについて、様々な提言がなされ、県議会からは、その実現に向けた普遍的な仕組みづくりに向けて、憲章、計画、宣言、条例などのあらゆる手段を検討するよう求められました。検討の結果、本県では、県民の代表である県議会の議決を経て制定される条例が最も適していると判断し、本県、事業者、県民等が当事者目線の障害福祉の推進に向けて取り組むべき役割等を明らかにする、新たな条例「神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例~ともに生きる社会を目指して~」(以下「条例」という)の制定を目指すこととしました。
 条例制定に向けては、県議会との議論や、県内33市町村、約60の関係団体、障害当事者などとの意見交換を重ねながら進めました。令和4年3月に条例骨子案を県議会厚生常任委員会へ報告するとともに、同年4月から5月にかけてパブリック・コメントを実施しました。寄せられた610件の意見等を踏まえ、条例素案を同年7月に同厚生常任委員会へ報告した後、更なる検討を重ね、同年9月に条例議案を県議会へ提出。同年10月7日の同厚生常任委員会において「施策の推進にあたっては、障害当事者とご家族の多様なニーズに対応できる受け入れ体制の更なる整備・拡充、担い手となる人材の育成・確保と処遇改善など実効性を担保するための財政支援と推進体制の機能強化に努めるとともに、諸情勢の変化に応じ、柔軟かつ果断に見直しを行うこと」との意見が付されて、同年10月14日の県議会本会議において全会一致で可決、同月21日に公布、令和5年4月1日の施行に至りました。
 以下に、条例の概要について記します(条文の全文は、本記事の末尾に掲載)。

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神奈川県福祉子どもみらい局共生推進本部室

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