浦和大学社会学部准教授 林 大介
1 こども基本法の意義
本年4月1日から「こども基本法」(1)(この条文を指摘する場合、その条名等のみを記す)が施行となり、こども家庭庁がスタートした。同法の基本理念は、以下の六つに整理できる(2)。
① 全てのこどもについて、個人として尊重されること・基本的人権が保障されること・差別的取扱いを受けることがないようにすること。
② 全てのこどもについて、適切に養育されること・生活を保障されること・愛され保護されること等の福祉に係る権利が等しく保障されるとともに、教育基本法の精神にのっとり教育を受ける機会が等しく与えられること。
③ 全てのこどもについて、年齢及び発達の程度に応じ、自己に直接関係する全ての事項に関して意見を表明する機会・多様な社会的活動に参画する機会が確保されること。
④ 全てのこどもについて、年齢及び発達の程度に応じ、意見の尊重、最善の利益が優先して考慮されること。
⑤ こどもの養育は家庭を基本として行われ、父母その他の保護者が第一義的責任を有するとの認識の下、十分な養育の支援・家庭での養育が困難なこどもの養育環境を確保すること。
⑥ 家庭や子育てに夢を持ち、子育てに伴う喜びを実感できる社会環境を整備すること。
特に、子どもの意見表明・参加について、条文において以下のように定められたことは、大きな一歩である。
・全てのこどもについて「自己に直接関係する全ての事項に関して意見を表明する機会及び多様な社会的活動に参画する機会」を確保すると定め(3条3項)、子どもの意見表明・参加を広く推進していく必要性を確認した点。
・同様に、こども施策の策定・実施・評価に当たって、当事者であるこどもの意見を反映させるために必要な措置を講じなければならないとし(11条)、こども政策推進会議による「こども大綱」案の作成に当たっても、こどもなどの意見を反映させるために必要な措置を講ずると明文化した点(17条3項)。
日本社会において、子どもの権利条約の精神が浸透し、国・自治体を含むあらゆるレベルで子どもの最善の利益を確保していく取組みは、まさに急務である。
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