兵庫県産業労働部観光局観光振興課
１ 条例制定の趣旨・経緯
兵庫県では、年齢や障害の有無等にかかわらず、様々な方が気兼ねなく旅行できるユニバーサルツーリズムを推進しています。その姿勢を明確にし、事業者や県民の理解促進・気運醸成を図るため、ユニバーサルツーリズムに特化した条例としては全国初となる「高齢者、障害者等が円滑に旅行することができる環境の整備に関する条例」を制定し、令和５年４月１日に施行しました。その背景や経緯を解説します。
（1）社会的背景
総人口の減少による観光市場の縮小は避けられない中、高齢者・障害者は県内人口の３割以上を占め、今後も増加基調にあります。また、令和７年には団塊の世代が後期高齢者に突入することから、旅行はもちろん、消費活動全般に落ち込みが予想されます。
また、国際目標であるSDGsでは、「誰一人取り残さない」包摂性を掲げており、観光分野においても重要な視点となっています。
さらに、令和３年５月に「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」（障害者差別解消法）が改正され、これまで事業者にとって努力義務とされていた障害者に対する合理的配慮の提供が令和６年４月から義務化されるなど、ユニバーサル社会づくりに向けた社会的要請も高まりを見せています。
このような中、令和６年には神戸2024世界パラ陸上競技選手権大会、令和７年には大阪・関西万博の開催が予定される等、観光面でのニーズも高まっています。こうした兵庫・神戸への国内外からの誘客機会を見据え、多様な来訪者の受入れに備える必要があります。
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