元・大和大学政治経済学部教授 田中富雄
自治基本条例と機能・意志・目的
自治基本条例は、「市民の権利と、自治体運営の全体像について、その基本となる仕組みや方針を規定した条例」であり、まちづくり基本条例、自治体基本条例、市政基本条例などと呼ばれることもある。そして、これまで制定されている自治基本条例には、前文、まちづくりの基本原則、情報共有(情報公開)、市民参加、協働、コミュニティ、議会、長、自治体運営、市民投票制度などの規定が含まれていることが多くある。総合計画に基づく自治体運営を行うことを明記する条例も少なくない(田中 2014:7)。
このような自治基本条例については、憲法や地方自治法では条例間に優劣の関係を定めていないが、他の条例を制定するに当たり自治基本条例の理念や原則を遵守する義務を定めることで、実質的に自治基本条例を他の条例との比較で上位に位置付けるようにすることができる。また、自治基本条例は、自治体において必要となる重要事項を目次としてまとめ可視化する機能を持つため、自治体において必要な重要事項が新たに生じた場合には、改正することが求められる。これらの実現には、関係者(自治体(市民〈団体・法人〉、議会〈議員・議会事務局職員〉、行政〈首長をはじめとする執行機関・執行部職員〉))の強い意志が求められる。
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