元・大和大学政治経済学部教授 田中富雄
議会は「慎重さ」、「公平さ」、「思いやり」で政策(福祉・保健・医療・保険)を「議論」する
日本においては、自治体政府も国も、資本主義のマイナス面を、公平の考え方による再分配でフォローすることが期待されている。福祉・保健・医療・保険は、その代表的な分野である。これらの政策は、租税負担率や所得再分配といった面でも市民生活に大きな影響を与える。
そして、議会は様々な市民から選ばれた多様な議員から構成される合議制機関である。合議制機関には、判断の「慎重さ」や「公平さ」が求められることから「議論」によって事を決定することになる。仮に、自分の意見が通ったとしても、本来議論が必要なのに、その機会をつくらなかったもの(議会・会派・議員)は議論の敗者である。いつ決定が覆るかもしれない。自分の意見が通らなかったとしても議論の機会をつくれたものは議論の勝者である。十分に議論することにより決定した内容が正当であることを、自ら納得し市民をはじめとする多くの関係者に説明し、説得することができる。
議論では、「思いやりの心」も必要になる。なぜなら、真剣に議論したもの全員が勝者であっても、政策の採択には勝者と敗者が出るからである。市民によっては負担が大きくなる者もいる。議決時、会派の意見が採択されたからといって舞い上がり、採択に反対した議員やその背景にある市民の苦渋を忘れてはならない。
本稿では、市民の幸せを実現するための福祉・保健・医療・保険分野における政策の現状と課題、期待される「慎重さ」、「公平さ」、「思いやり」と「分配」について考える。
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