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2022.09.12 政策研究

第9回 政策(福祉・保健・医療・保険)と「分配」

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元・大和大学政治経済学部教授 田中富雄

議会は「慎重さ」、「公平さ」、「思いやり」で政策(福祉・保健・医療・保険)を「議論」する

 日本においては、自治体政府も国も、資本主義のマイナス面を、公平の考え方による再分配でフォローすることが期待されている。福祉・保健・医療・保険は、その代表的な分野である。これらの政策は、租税負担率や所得再分配といった面でも市民生活に大きな影響を与える。
 そして、議会は様々な市民から選ばれた多様な議員から構成される合議制機関である。合議制機関には、判断の「慎重さ」や「公平さ」が求められることから「議論」によって事を決定することになる。仮に、自分の意見が通ったとしても、本来議論が必要なのに、その機会をつくらなかったもの(議会・会派・議員)は議論の敗者である。いつ決定が覆るかもしれない。自分の意見が通らなかったとしても議論の機会をつくれたものは議論の勝者である。十分に議論することにより決定した内容が正当であることを、自ら納得し市民をはじめとする多くの関係者に説明し、説得することができる。
 議論では、「思いやりの心」も必要になる。なぜなら、真剣に議論したもの全員が勝者であっても、政策の採択には勝者と敗者が出るからである。市民によっては負担が大きくなる者もいる。議決時、会派の意見が採択されたからといって舞い上がり、採択に反対した議員やその背景にある市民の苦渋を忘れてはならない。
 本稿では、市民の幸せを実現するための福祉・保健・医療・保険分野における政策の現状と課題、期待される「慎重さ」、「公平さ」、「思いやり」と「分配」について考える。


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田中富雄(元・大和大学政治経済学部教授)

この記事の著者

田中富雄(元・大和大学政治経済学部教授)

1955年生まれ。三郷市(埼玉県)出身。三郷市職員を経て、2017年4月から大和大学政治経済学部准教授、2019年4月から同教授。2020年3月病気のため大和大学を退職。龍谷大学大学院政策学研究科博士後期課程修了。博士(政策学)。専門・研究分野は、基礎自治体の統制/基礎自治体の経営。特に、自治体政府(議会・首長)、自治基本条例、総合計画、公共政策、まちづくりに関心がある。主な論文は、「議会における「議論の可能性」-三郷市自治基本条例を事例として」(村田和代編『これからの話し合いを考えよう (シリーズ 話し合い学をつくる 3)』、ひつじ書房、2020年)、「自治体計画に対する議会の制御」(廣瀬克哉編『自治体議会改革の固有性と普遍性』、法政大学出版局、2018年)、「自治基本条例の成立と展開」(龍谷大学博士学位申請論文、2014年)。

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