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2022.04.11 政策研究

第10回  オンラインを活用した住民とのコミュニケーションの可能性~東京都東村山市議会の取組み~

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青森大学社会学部教授/早稲田大学マニフェスト研究所招聘研究員 佐藤 淳

《今回のキーワード》

  • オンラインを活用した住民とのコミュニケーション
  • 新しい日常
  • Zoom
  • オンライン議会報告会
  • 議会のアウトリーチ
  • 議会からの政策サイクル


 

【SHORT STORY】

  「新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け、開催を予定していた、ここち市議会の市民との意見交換会の開催を中止いたします」。
  議会事務局の江上は、先程まで開催されていた議会運営委員会での話し合いの結果を受けて、議会のホームページの更新作業を行っていた。市民との意見交換会を担当する広聴広報委員会の委員から、いつも高齢の男性しか参加しないから、インパクトのあるチラシにしてくれないかといわれ、今回は自分なりに手の込んだものを作成したつもりだった。その成果を確認することができなくなったのは残念だが、当日、市民が来るか来ないか冷や冷やするプレッシャーからは解放される。まぁいっか……。
  そんなとき、広報広聴委員会の委員である若手の古江議員が事務局の部屋に入ってきた。「江上君、2年連続、市民との意見交換会中止になっちゃったね。議会基本条例には、年に1回以上、市民との意見交換会を開催するってことになっているけどいいのかな?」。「コロナですから仕方ないですよ。近隣の議会も中止や延期にしているところばかりですし」、と江上は作業をしながら答えた。
  「Zoomって使えませんかね?」江上の隣に座る、先輩事務局職員の福島良子がボソッとつぶやいた。福島には小学校4年生の双子の男の子と女の子がいる。「コロナになってから子どもたちが通う学校のPTAの会議がZoomを使ってオンラインでやるようになったんです。小さい子がいるママ友は、自宅で子どもの面倒見ながら参加できるって結構好評なんですよ」。
  「福島さん、80歳の青木議員がZoomなんてできると思う? 青木議員がイエスっていわない限り、第一会派は賛成しないよ。それにあの会派には、市民との意見交換会自体に乗り気じゃない議員もいるじゃん」。山田次長が毎度のように、皆のやる気をそぐ発言で割って入る。
  「政策サイクルを回し、政策提案できる議会になるには、その起点となる市民との意見交換会の開催は必要。コロナ禍であればなおさらだ」。江上は心の中でそう思ったが、言葉を飲み込んだ。
※Zoom:複数の参加者が音声と映像により通話できるオンライン会議システムの代表的なもの。


オンライン議会報告会の案内チラシ

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佐藤淳(青森大学社会学部教授/早稲田大学マニフェスト研究所招聘研究員)

この記事の著者

佐藤淳(青森大学社会学部教授/早稲田大学マニフェスト研究所招聘研究員)

青森大学社会学部教授、早稲田大学マニフェスト研究所招聘研究員。 1968年青森県十和田市生まれ。早稲田大学商学部卒業後、さくら銀行(現三井住友銀行)入行。法人部門を中心に12年間勤務後退職。日本社会事業大学大学院福祉マネジメント研究科修了、社会福祉士。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。マニフェスト型選挙、地方自治体の組織開発、地方議会改革、市民協働のまちづくり、シチズンシップ教育のテーマで研究と実践を行う。 共著に「スピード開票実践マニュアル」(ぎょうせい)、「点描~変わりゆく現代社会」(ぎょうせい)、「あなたにもできる議会改革」(第一法規)、「実践学校模擬選挙マニュアル」(ぎょうせい)、「議会改革実践マニュアル」(第一法規)等。

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